
厚木市の映画館が右翼団体の街宣予告を受けてドキュメンタリー映画「狼をさがして」の上映を中止したことを巡り、配給会社の「太秦」などは10日、筋違いの抗議活動に屈しない覚悟を強調した。
東京都内で会見し、「言論によらない圧力は一線を越えている」と危機感を表明。その上で、「映画館は表現の自由に携わる担い手として屈してはならない」と呼び掛けた。
同作は「あつぎのえいがかんkiki」が8日に公開予定だったが、右翼団体から厚木署に街宣活動の予告があり、中止を決めた。
同社の小林三四郎社長は「本作は東アジア反日武装戦線の思想をたどり、彼らの失敗やその後の生を描いた。思想に共鳴し、肯定的に描いた作品ではない」と説明。同館の従業員が体調を崩したことも明かし、「忸怩(じくじ)たる思い。多くの配給会社にこの事実が十字架のようにのしかかることを食い止めたい」と語った。
横浜シネマリンにも街宣車
厚木で上映中止の「狼をさがして」 配給会社社長が危機感
映画「狼をさがして」上映中止の経緯などを語る(左から)馬奈木弁護士、小林社長、太田さん=東京都港区 [写真番号:615412]