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追う!マイ・カナガワ
大学、春から対面授業復活も 激変する環境、学生に支援は?

社会 | 神奈川新聞 | 2021年4月1日(木) 06:00

 新型コロナウイルスの影響でオンライン授業中心だった多くの大学で、新年度からは対面授業を増やす動きが顕著だ。オンラインのみの学生生活が1年も続き、学生や保護者から悲痛の声が「追う! マイ・カナガワ」取材班にも届いていたが、春から環境が再び大きく変化することで負担は増しかねない。大学にはどのような対応が求められるのか。

「3年次は2回しか…」ストレス

新年度に向け、プラスチック板が各席に設置された教室=横浜市神奈川区の神奈川大学横浜キャンパス

 「3年次は2回しか大学に足を運ぶことはありませんでした」。都内の大学の理系学部に通う女子学生(21)=横浜市港南区=は実験動画などを見てリポートを提出する毎日を1年間も過ごした。対面授業は2回しかなかった。

 オンライン導入後しばらくは、チャット機能で対面よりも質問しやすく、約2時間半あった通学時間をバイトやインターンシップにも充てられる利点を感じていた。だが長期化に伴い、授業を視聴して課題をこなすだけの日々にストレスを覚えるようになった。「以前は友人と話したり、食事したりすると頑張ろうと思えたけど、モチベーションを保つのが難しくなった」

 保護者も心配する。「大学1年の息子は一日も大学に行っていない」と投稿を寄せた鎌倉市の自営業男性は「サークル活動や、友達と一緒にばかなことをやるのも大事。人間関係が希薄になってしまう」。

 「通信環境や冷暖房完備の家庭ばかりではない」と話すのは新3年生の娘がいる女性。唯一の個室である夫の寝室を「オンライン部屋」とし、「時折途切れるWi-Fiで授業を受けさせた」という。授業中は家事を止めて息をひそめるといい、「精神的に限界」と明かした。

「感染対策に逆行」「時期尚早」の声も

新年度に向け、除菌シートを学生向けに配布するキャンパス内=横浜市神奈川区の神奈川大学横浜キャンパス

 2020年度後期授業では、対面授業の割合が半分未満という大学が計187校(文部科学省調査)もあったが、21年度は対面増加の動きが広がる。

 県外出身の学生の割合が高く、実家に戻る学生も多かった横浜国大は昨年度はほぼオンラインだったが、21年度は対面も取り入れる授業数を85%に増やす。3割だった神奈川大は7割程度へ。慶大は平均5割程度に、早大は7割を目指すとしている。

 対面授業を待ち望んできた学生や保護者にとっては、これを朗報と受け止めることが自然かもしれない。

 一方、取材班には「若年層の感染が増える中、対面授業増加は感染対策に逆行している。通学すれば多人数での会食なども増え、授業が感染源にならなくても時期尚早では」との声も寄せられ、感染状況は当然、注視する必要があろう。その上で、再び大きく学生の生活環境が変化することへの影響も無視できない。

学ぶ意欲「バックアップを」

教室内の「密」を避けるため、「着席禁止」のシールが互い違いに机上に貼られる=横浜市神奈川区の神奈川大学横浜キャンパス

 「毎日通学する生活に変わり負荷を感じる学生もいるだろう。オンラインだから受講を続けられた学生もおり、対面が増えることで不適応も起こしかねない」

 こう話すのは、大正大の山本繁特命教授だ。大学に行けず人間関係が築けなかった新2年生には、顔や名前を覚えて呼ぶことから、教員らが丁寧に取り組むべきと指摘。コロナ禍での受験を経験した新1年生にも特別なケアが求められ、「学生に何が起き、どんな支援が必要か、大学間で連携して素早く情報共有することが求められる」と話す。

 コロナ禍で生じたのは、友だちができない孤独感や支援を受けにくい孤立感、就職への不安、経済的困窮などさまざまだ。

 「誰とも関わりがなく、学校の近くにいる理由がなかった」と、都内の大学近くに借りていたマンションを昨年末に引き上げた平塚市の女子学生(21)は「オンライン生活に慣れすぎ、もうこのままでもいいとも思う。それでも限られた4年間。大切な時間を返してほしい」と葛藤する気持ちを打ち明ける。ニーズは多様だが、個々のつらさに寄り添うことが大切だろう。

 山本特命教授は「オンラインでは生活リズムが乱れがちで、時間割を共有することも有効。学ぶ意欲も落ちており、応援のメッセージを発してバックアップしてあげて」と保護者にも助言した。(岩﨑 千晶)

新年度へ大学、感染防止に注力

出入り口などさまざまな場所で、手指消毒の機器などが設置される=横浜市神奈川区の神奈川大学横浜キャンパス

 神奈川大は対面授業が増える新年度に向け、教室に空気清浄機やプラスチック板を設けるなどの感染防止策を進めてきた。

 横浜キャンパス(横浜市神奈川区)では昨年4月から今年3月下旬まで、入校を原則禁止にしていたが、新年度はオンラインは大人数が受講する授業などに限る方針。登校は大幅に増えるが、基礎疾患や身体障害がある学生らは、オンライン受講も可能にする。担当者は「不安なく大学生活を送れるよう、打てる手を打つ」としている。

 横浜国大は、教室の収容定員を3分の2~半分に設定し、中規模教室にもマイクを設置。学食では遮蔽(しゃへい)板や座席間隔の確保を徹底している。キャンパス内ではドアノブなど共用部分は1日1回、界面活性剤などで清掃するという。


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