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時代の正体 歴史と向き合う
米教授「慰安婦」論文が波紋(上)

社会 | 神奈川新聞 | 2021年3月31日(水) 12:00

 日本軍「慰安婦」制度を巡り、米ハーバード大のジョン・マーク・ラムザイヤー教授による論文が波紋を広げている。学術誌のオンライン版に掲載した論文「太平洋戦争における性行為契約」で、ゲーム理論を持ち出し「慰安婦」は自発的に業者と契約した「売春婦」だとして日本国家の責任を否定。これに対し国内外の研究者らが抗議活動を展開し、「事件」の様相も帯びる。論文の問題点は何か。「慰安婦」や公娼制度研究の第一人者がセミナーで語った反論を詳報する。

人権侵害無視した立論 中央大名誉教授 吉見 義明氏

ラムザイヤー論文に反論するセミナーで講演した吉見教授(下左)と小野沢教授(同右)

 ラムザイヤー論文の「慰安婦」論について、まず契約論の問題を指摘したい。

 一つ目は、芸娼妓(げいしょうぎ)契約や「慰安婦」契約を論じているが、一点の契約書も提示していない。これで論ずることができるのか。

 二つ目は、公娼制度と同様に業者と女性が契約したとしたが、実際は女性が契約主体ではなかった。親権を持つ親族と業者が、紹介業者を介して契約するのが一般的で、親族側の立場は大変弱かった。遊郭等で性売買をさせられていた女性は、抱え主(楼主)が業者との交渉に深く関わった。

 三つ目は、「慰安婦」に関わる契約は市民社会の通常の契約ではなく、女性の奴隷的な拘束をもたらす犯罪的な人身売買契約だった、ということだ。論文はこうした点も無視し、非常に大きな問題がある。

 そもそも朝鮮や中国、インドネシアなどで多くの女性が、契約なく「慰安婦」とされたのだ。

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