減少傾向にあった自殺者数が再び増加に転じた。とりわけ女性や小学-高校生の自殺が目立つ。
原因は複合的といわれるが、新型コロナウイルス禍の影響は明らかだ。人と人のつながりを頼みとする自殺対策は、互いに距離を置く感染対策とは相反する試み。これをどう進めたらよいのか。
精神科医で、かながわ自殺対策会議の大滝紀宏座長(横須賀市・湘南病院院長)に聞いた。

-感染対策の主軸は直接の会話を減らすことです。同時に、これは自殺対策の多くを困難とします。
「今は、人と人の密を避けざるを得ない状況です。だが人は悲しいときも、困ったときも、距離を縮め励まし合う生き物です。人を分断し、本来の生き方を妨げているのが、この感染症の恐ろしさなのです。仲間づくりができないうちに孤立してしまう若者もいます」
-コロナ禍が心に及ぼす影響は、どのようなものでしょうか。