3月8日の「国際女性デー」に合わせ、神奈川新聞社は子育てとジェンダーについてアンケートを実施した。
性別による「らしさ」を押し付けられた体験談には、男女の固定観念を巡るさまざまな「現実」が並んだ。
子どもとどう向き合うべきか、差別の土台となる性差への偏見をなくすには─。寄せられた意見や疑問について、愛媛大教育学部の金子省子教授に聞いた。

─アンケートでは「性別で決め付けず、子どもの個性を伸ばしてあげたい」といった回答が多く寄せられた。
子どもの個性は多くの保護者が意識していることで、確かに大切なこと。ただ、それと同じくらい重要なのは「親が自分のことを考える」こと。子育ては親自身のジェンダーの捉え方についても見直すチャンスの時期だ。
わが子に「固定観念に縛られず育ってほしい」と思いつつ、親自身が縛られていることがよくある。子どもにとっては保護者も環境の一つ。絵本やおもちゃなどの選び手として、できるだけバイアス(偏見)がかからない形で選ぶように呼び掛けている。子どもの育て方ばかり考えがちだが「私」について問う、自分と向き合うことが大切だ。
─「子育てをする上で何に頼るべきか分からない」といった声も上がった。
子育てと言えばこれ、という定番の育児書はない。逆に言えば、多様な意見に触れるチャンスでもある。親自身が読み解ける力を付けないといけない。
若い世代の気付きは次の世代につながる。一人一人の意識が社会を変えるきっかけになる。SNS(会員制交流サイト)などが発達する中、保護者が気付きを発信することも手段の一つ。自分たちの感覚を共有することで、今までの世代が流していた情報に対して「これはおかしい」と気付くことができる。
─具体的にどんな方法が挙げられるか。