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追う!マイ・カナガワ
風化、復興観に地域差 防災アンケート

社会 | 神奈川新聞 | 2021年2月16日(火) 10:00

東日本大震災への関心度

 神奈川新聞社など地方紙による連携プロジェクト「#311jp」で行ったアンケートで、東日本大震災への関心度を6段階で尋ねたところ、「非常に関心がある」という最高の「5」は岩手、宮城、福島の被災3県で75・9%に上り、3県以外は50・4%だった。次の段階の「4」と合わせるといずれも8割を超え、多くの人が関心を持ち続けていることが分かった。

被災地とのつながり「変化なし」36%

 「震災から何年間ぐらい震災を話題にしたか」について、被災3県の76・5%、3県以外の59・6%が現在に至る「9年」と回答。3県以外では「3年」(9・6%)と「5年」(12・7%)が他の年より5ポイント以上高く、「節目」が影響した可能性がうかがえる。

 「被災3県の復興が着実に進んでいるか」との質問については「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計が被災3県53・0%、3県以外28・2%と倍近い開きが出た。三陸沿岸道(仙台─八戸、359キロ)の建設が進み、災害公営住宅が各地で完成するなど「復興」が目に見える形で実感できる被災3県との差が浮き彫りとなった。

震災をきっかけとした岩手、宮城、福島3県との関わり

 震災をきっかけに生まれた被災3県との関わりも聞いた。3県以外の主な回答は「募金や被災地の物品購入」(50・2%)「ボランティアや旅行で訪れた」(21・2%)だった。「特に変化はない」は被災3県32・5%、3県以外36・9%。

 震災による個人の意識や行動の変化に関し、被災3県は「自分のことは自分で守るべきだと思うようになった」が62・0%で最多。「家族や友人など身近な人と大切にするようになった」は50・6%となり、被災経験に基づく自助や共助の意識の高まりがうかがえた。3県以外は「社会的な問題に関心を持つようになった」が48・3%がトップだった。

震災後「てんでんこ」認識高まる
被災3県以外で「知った」4割超

「津波てんでんこ」の認知度

 東日本大震災で注目された教訓「津波てんでんこ」について、震災後に言葉と意味を知った人が全国で4割を超えることが、全国の地方紙連携アンケートで分かった。特に岩手、宮城、福島の被災3県は57・8%だった。半面、3県以外では言葉を聞いたことがない人が41・0%に上り、震災の教訓が全国で十分に共有されていない現状が浮かんだ。

 被災3県では、19・3%が「震災前から言葉と意味を知っていた」と回答。震災後に理解した人と合わせて約8割に達した。「震災後に言葉を知ったが、意味は知らない」は被災3県6・0%、3県以外8・1%だった。

ハザードマップの認知度

 一方、逃げた後の集合場所を家族で決めていない人は被災3県51・8%、3県以外60・9%と過半数を占めた。携帯電話の不通で連絡が取れず、再会に苦労した震災の経験が被災地も含めて生かされていないのが実情だ。

 災害時の避難場所を「知っている」は被災3県92・8%、3県以外85・3%といずれも高く、備えの意識は浸透していた。ただ居住地の災害リスクの把握に欠かせないハザードマップの内容を「理解している」は被災3県45・8%、3県以外36・9%にとどまった。

 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は「避難後の集合場所を決めておくことは震災の重要な教訓。津波てんでんこと一緒に浸透するのが理想だ」と指摘。ハザードマップの理解度が低いことに「避難所を知っていても、災害によっては対応していない可能性がある。マップできちんと確認してほしい」と注意を促す。

◆津波てんでんこ 津波のときは一人一人がてんでんばらばらに逃げろという三陸地方の教え。実践すれば他者の避難を促す効果があるなど、自助だけでなく共助の重要性も強調する言葉とされる。大船渡市の津波研究家、故山下文男さんが1990年にあった津波防災シンポジウムで紹介し、東日本大震災後に広く知られるようになった。

 アンケートは、神奈川新聞社の「追う! マイ・カナガワ」と同様に地方紙が無料通信アプリ「LINE」などを使って記者と読者を結び、暮らしの疑問や地域課題の解決を目指す「オンデマンド調査報道」の一環。この取り組みには29社が参加しており、アンケートでは40都道府県の1699人から回答を得た。うち被災3県は166人。一般の世論調査とは異なる。今回の記事は河北新報社がまとめた。


 神奈川新聞社は暮らしの疑問から地域の困り事、行政・企業の不正まで、無料通信アプリLINE(ライン)で読者から寄せられた取材リクエストに幅広く応える「追う! マイ・カナガワ」(略称・マイカナ)に取り組んでいます。

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