
通学や通勤などで使われる生活道路に70トンもの土砂が崩れ落ちた逗子市池子の斜面崩落事故は、日常に崩落のリスクが潜んでいることを浮き彫りにした。
「通学路沿いで多くの子どもが通る斜面。台風や大雨の時は特に、何かあってはいけないと心配になる」。県内で斜面がある土地を所有する60代男性は言う。崩落対策は講じているが、樹木伐採に1本で数十万円かかる。「防災の意識はあっても、費用の問題で工事が難しい所有者はいると思う」と打ち明ける。
現行法制度では土地は所有者の管理が原則だが、工事費は数百万~数千万円に上る場合では、自治体の助成制度を活用しても負担は重い。基準を満たせば県が工事を行う仕組みもあるが、所有者全員の合意が必要なため、円滑に進まないことが多いという。
そうした中で尊い命が失われる事故を起こさないために、「民有地に手出しはできないが、できる限りのことを」と行政が所有者に対応を促す動きも強化されている。
地道な注意喚起が大切
逗子斜面崩落1年(下)「安全に特効薬ない」 できることを
「地域に危険があるか住民と共有し、市に伝えることが大切」と活動する久木地域の住民協メンバー=逗子市 [写真番号:502461]