「今後、海外での論文発表に不安がある」「特許取得のために離婚も考えている」
夫婦が望めばそれぞれが結婚前の姓を名乗ることも認める選択的夫婦別姓を巡り、政府が昨年12月に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画では、制度導入に前向きだった当初案から大幅に後退した内容となった。「家族の絆が失われる」などと主張する反対派に配慮した形だったとみられているが、旧姓を通称使用している県内の研究職の女性らは異を唱え、制度導入に向けて声を上げ続けている。
論文提出のために離婚
「夫婦同姓の強要こそ、夫婦関係を破綻させる」。
サンゴ研究で知られる東京経済大准教授の大久保奈弥さん(44)=藤沢市=は、当初案を押し戻した反対派の主張をきっぱりと否定する。
姓を変えた側の負担が増え、不公平感が拭えないからという。
旧姓はアイデンティティー 女性研究者が改姓で被った不利益
「夫婦同姓の強要こそ、夫婦関係を破綻させる」と語る大久保奈弥さん(大久保さん提供) [写真番号:497658]
「長女に将来同じような苦労をさせたくない」と語る岡田恵利子さん [写真番号:497659]