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追う!マイ・カナガワ
行政はすべて丸投げ… コロナ禍のデイサービス「もう限界」

社会 | 神奈川新聞 | 2021年2月1日(月) 05:00

 「コロナ陽性者と近距離で接しましたが、検査を受けられず不安です」「コロナ予防は施設任せで、何かあったら運営中止。中止したからといって補償もありません」─。

 新型コロナウイルスを巡って神奈川県内の複数のデイサービス関係者から、「追う! マイ・カナガワ」取材班に悲痛な声が寄せられている。

 1月7日の緊急事態宣言発出に際し県は、介護施設などに感染予防策を講じた上で事業継続するよう要請したが、現場の負担は限界に達している。

『臨機応変に対応』

緊急事態宣言下で開所を継続する県内のデイサービス

 「今年の節分は、124年ぶりに2月2日みたいですね」。

 県央地域のデイサービス施設を訪れると、利用者約10人がテーブルを囲み、テレビを見て談笑していた。

 いずれもマスクを着用し、テーブルには飛沫(ひまつ)防止パネル。換気扇が回り、利用者が集まる部屋に3枚ある窓は、気温に応じて開ける枚数を変えている。

 新型コロナ感染防止で「密」を避けるために入浴回数を半減するなど、職員の安全確保も模索している。

 一方で、管理者の男性は日々頭を抱える。「県や国は指針を示しているが『臨機応変に対応』など施設側の裁量が大きく、結局は全部施設任せ。でも感染者が出れば悪者扱いされる。どうしたらいいのかというのが正直なところですよ」

対応手順も示さず

新型コロナ対策で購入した紙コップやうがい薬などが並ぶ、デイサービスの洗面所

 県の発表によると、クラスター(感染者集団)が終結していない県内の福祉・介護施設は66施設、陽性者数は1081人(1月末現在)に上る。

 しかし、施設名が発表されるのは了承を得られた場合のみなど対応にばらつきがあることに、男性は戸惑う。

 「利用目的に応じて2、3カ所のデイサービスに通う人もいる。ある施設で陽性者が判明しても、そこの利用者がうちを利用しているかは、施設名の情報がないと把握できない」

 仮に施設内で感染が判明した場合、利用者にどう対応すればいいのか明確な手順は示されていない。「後手の対応で感染を広げかねない」と不安は募る。

 マイカナ取材班には、利用者側からも「高齢の母がいますが、怖くてデイサービスに行けない。介護施設などの職員の定期的なPCR検査はできないのか知りたい」といった声も寄せられている。

 保健所がない26自治体を所管する県は、陽性者が判明した施設では検査するが、そうでない施設では現状難しいとの見解。担当者は「陽性者数が高止まりしている危機的状況にあり、保健所職員の手が回らない」と話す。

 県央地域の施設では、看護師が自腹でPCR検査を受けたこともあったという。男性は、利用控えなどが影響して運営も厳しくなる中で、職員全員に施設負担でPCR検査を受けさせるのも難しいと説明する。

検査も受けられず

 横浜市内のデイサービス職員の女性からは、感染に対する不安な気持ちを共有したい─と取材班に連絡があった。

 女性が働く施設では1月、利用者の男性の陽性が判明。男性は無症状で、検査3日前にデイサービスを利用し、マスクを外して約30分間の入浴介助を受けるなど、職員と近距離での接触があったという。

 ただ国の定義では「新型コロナの無症状患者の濃厚接触者は、検査2日前から隔離されるまでに接触した者」などとされるため、保健所はこのデイサービス職員は該当しないと判断。職員らはPCR検査を受けたかったが、かなわなかったという。

 一時閉鎖された施設は、消毒などを施して数日で再開したが、女性は「無症状の場合、いつ発症したかわからないのに2日前と言われても…。無症状感染で家族にうつしたり、施設内でクラスターを起こしたりするかもしれない。呼吸器系の疾患を持つ高齢の利用者もいるのに、責任を持って接する自信がない」と不安を募らせている。

 結局、職員らは自腹で検査キットを購入したという。幸いにも体調不良者などは発生していないが、女性はこう強調した。

 「せめてPCR検査を受けやすい環境を行政でつくって」(岩﨑 千晶)


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