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追う!マイ・カナガワ
コロナ禍の検定試験 「生徒陽性」への対応、教諭憤り

社会 | 神奈川新聞 | 2021年1月15日(金) 05:31

 コロナ禍で実施される検定試験の在り方について、県立高校の男性教諭から疑問の声が「追う! マイ・カナガワ」取材班に届いた。高校生を対象にした資格試験で、コロナ陽性と診断された生徒が、日程の振り替えや返金に応じてもらえなかったという。「コロナに苦しむ生徒への配慮がない」という教諭の憤りを記者が追った。

ビジネス文書実務検定試験要項には、「受験料は理由の如何を問わず返金いたしません」と記載されている

 毎年、全国で2回実施される「ビジネス文書実務検定試験」。合格すれば卒業単位などにも認定されるため、主に商業高校や専門学校の学生ら年間約40万人が受験する人気検定だ。

 昨年11月、横浜市内のある県立高校でも生徒40人が受験予定だったが1人がコロナ陽性と診断され、濃厚接触者を含めた3人の生徒が受験できなかった。

 教諭らは生徒への対処を求め、主催の全国商業高等学校協会(全商協会)に相談した。しかし、「全国一斉試験なので、試験日は変更できない」「高校として団体受験そのものを取りやめるなら、返金に応じる」などと説明されたという。

 教諭は憤りを隠せない。

 「ただでさえコロナで苦しんでいる生徒に、教育機関が主催する試験で配慮が行き届かないのはおかしい」

ほかでは繰り越しも

各種検定協会のパンフレット

 ほかの検定では試験日を繰り越せたり、返金を行ったりしているケースも多い。実務技能検定協会が主催する「ビジネス文書検定」(年2回・計約1万人受験)では、コロナ禍のような特殊な状況下では、セルフチェックなどで体調不良を感じて欠席した場合も、次回までの試験に受験を繰り越せる。

 「本人に非がない場合は、基本的には受験機会を奪わないよう対処しています」と同協会。振り替え対応が基本で、どうしても都合がつかない場合のみ返金にも応じるという。

 年約35万人が受験する実用数学技能検定などを運営する日本数学検定協会は、団体受験では欠席者の検定料を次回の団体受験まで繰り越せるという。

高校生向け値段設定 「運営ぎりぎり」

 では、どうして全商協会はそれがかなわないのか。取材を進めると、学校教育の一環という側面や検定料金の違いが大きく関わっていることが分かった。

 全商協会によると、ビジネス文書実務検定試験の検定料は4級700~1級1200円。商業教育の充実を図るため、高校生らが受験しやすいよう、各種検定料金と比べるとおよそ5分の1の値段設定だ。会場校の教員らが試験監督や採点を担当することで費用を抑えている。

 同協会の林修理事長(都立芝商業高校校長)は「高校生向けに非常に安く検定を実施し、運営はぎりぎりの状態。返金や繰り越しをしたら運営に影響が出て、試験存続にも関わってしまう」と打ち明け、コロナ禍であっても特別な対応は難しいという。林理事長は「私も一校長として、生徒の気持ちやコロナの影響による保護者の方の経済事情などを鑑みると、苦渋の決断です」と声を落とした。

 実際、コロナ禍における検定試験は各団体が感染対策などに苦慮しながらの運営となり、その分のコストもかかる。数学検定では昨年もコスト増を理由に検定料を値上げしたばかりだ。日本数学検定協会の担当者は「アルコール消毒液などの感染予防対策には特別な経費もかかる。コロナだからといって検定料を上げてはいないので、それぞれの協会さんが個別で努力されていると思う」とおもんぱかる。

 こうした実情を伝えると、投稿を寄せた男性教諭は「お金の問題ではないんです。教育機関が運営する資格試験として、生徒たちが頑張って勉強した成果を発揮する場所を再度用意してほしい」と思いを述べた。

 コロナ禍で実施される検定試験でも、誰もが機会を平等に得られるためには、どうすればいいのか。記者も考えさせられた。皆さんはどう思いますか。(蓮見 朱加)


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