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高さ3m級バス停のなぜ(下)横浜市営、驚くべき形態の多さ

社会 | 神奈川新聞 | 2021年1月7日(木) 05:00

地域によってさまざまな横浜市営バスのバス停

 バス停を交換できれば、問題も解決していくだろう。しかし、コロナ禍の影響がバス停にも影を落としているという。

 横浜市交通局は地方公営企業として、一般会計からの任意補助金に頼らず、主にバスや地下鉄の乗車料収入で経営している。

 「通常の白いポールのバス停(写真1)ですら1基数万円。正直、購入できる数に限りがあり、安全性に問題がない限りは交換できない」と同局の担当者は言う。本年度はコロナ禍の影響で市営バスは赤字の見通し。担当者は「毎年5基ほど購入し、紅葉坂はたまたま在庫があったのですぐに替えられた。今後は購入が難しくなるかもしれない」とこぼす。

 投稿者の男性は「臨海部の観光地にばかり、使いやすいきれいなバス停が整備される。市民が普段利用する地域も、使いやすくなってほしい」と寂しそうだ。

3メートル級のバス停を見上げる子ども=横浜市西区

 3メートル級のバス停は、子どもや車いす利用者にとってはどう映るのだろうか…。

 浅間町車庫前で5歳の娘とバスを待っていた女性に聞いたところ、「うちの子はまだ小さいので1人ではバスに乗らないですから」。別の小学生も「時刻表とかは見なくても平気」と特に不便とは感じていないようだった。

 ただ、高島町バス停を利用する車いすユーザーの男性(57)は「時刻表の文字が小さくて見えない。デジタル技術を使用した見やすいバス停にならないのか」と首をかしげた。

「街の在り方」指摘も

 同市交通局が管理するバス停は現在、市内に2584カ所あるという。市条例はバス停を「高齢者、障害者等に見やすい高さに設ける」と明記する。

 市都市整備局や道路局は「すべてのバス停の状況を把握しきれていない。バス停はバス事業者が管理するもの」と強調する。市は2018年に「都市交通計画」を作成し、バリアフリー推進を掲げるが、バス事業者だけでは「早急の改善」は難しそうだ。

 横浜国立大学・交通と都市研究室の中村文彦教授は「バス停の在り方は、街の在り方の問題。決してバス事業者だけに任せておいていい話ではなく、市として、まちづくりの総合的な視点も踏まえて、これからのバス停の在り方を考える必要がある」と指摘する。

30種類もあった 一基「数百万円」の停留所も

 そもそも、どうして同じ市営バスなのに、地域によってさまざまなバス停があるのだろうか。さらに取材を進めていくと、市営バスのバス停の形態が約30種類にも上るという驚きの事実が分かってきた。

 市の中心部や観光地では、広告付きでガラス張りバス停(2)が目立つ。一基数百万円もかかるが、広告会社が出費して設置、管理運営も担うことで、バス事業の経費削減につなげている。

 最新のバス停は、横浜駅東口の高機能なタッチパネル式(3)だ。デジタル画面で時刻表などの情報を操作できる。ほかにも接近表示機(4)や、ライトが点灯するもの、ソーラー発電が付いたもの(5)など、場所によって機能もデザインも多岐にわたる。

 港北ニュータウン(同市都筑区)には「仲町台駅型」(6)「センター南型」(7)「北部ニュータウン型」があり、デザインが異なる。「新たにバスを通す時に作ったものなど、さまざまあるのが実情です」と交通局。

 横浜臨海部を走る注目の連節バス「ベイサイドブルー」(8)は青が基調の車体に合わせたスタイリッシュなデザイン。「桜木町駅型」もバスターミナル整備に合わせて考案された。

 そうした華やかな地域がある一方で、磯子や港南、鶴見区などの古い住宅地にはレトロなバス停(9、10)が今も残る。

 道路運送法ではバス停で提示しなければならない系統名、時刻表などは定めるが、デザイン規定はない。国土交通省は「デザインは、あくまで事業者や自治体が考えるもの」とする。

(1)阪東橋(中区)
(2)トレッサ横浜(港北区)
(3)横浜駅東口バスターミナル(西区)
(4)深田橋(港南区)
(5)白山高校(緑区)
(6)仲町台駅(都筑区)
(7)センター南駅(都筑区)
(8)パシフィコ横浜(西区)
(9)磯子駅前(磯子区)
(10)みやのくぼ(港南区)

記者総動員で調べてみると

 今回、横浜市内在住の記者らを総動員し、ほかにもさまざまな意匠のバス停の写真(11~17)を集めたが、横浜に長年暮らす者からも「近所にあるバス停がほかの場所にもあるのだと思っていた」「今は古くても、徐々にすべてが最新設備のバス停に変わっていくのかと思っていた」など、各地域でばらばらなバス停事情を不思議がる声が上がった。

 30種ものバス停がある背景には、都市計画や都市デザインなどで明確な狙いがあったというよりは、各時代の経済状況や駅前再開発の有無などの影響が色濃いのかもしれない。

 最後に、記者は取材を通じて、四六時中バスが発着していながら市営バスの時刻表が一枚も貼られていないバス停にも出会った。「乗る人がほぼいない」という横浜駅のバス停(18)。謎は深まるばかり…。(蓮見 朱加)

(11)本町4丁目(中区)
(12)峰の郷(磯子区)
(13)東横反町駅(神奈川区)
(14)開港記念会館前(中区)
(15)国大南門(保土ケ谷区)
(16)常盤台住宅(保土ケ谷区)
(17)公務員住宅入口(港南区)
(18)横浜駅(改札口前)(西区)

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