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IR考
問われる横浜、政治の成熟度 「市民の思い背を向けるな」 

社会 | 神奈川新聞 | 2021年1月6日(水) 17:10

 横浜市が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致について、賛否を問う住民投票の条例案が市会で審議される。林文子市長は「意義を見いだせない」と実施に否定的だが、市民団体「[国民投票/住民投票]情報室」代表の武田真一郎・成蹊大学法科大学院教授は「市民の代表である市長や議会が市民の意見を聞かない理由はない」と意義を強調する。条例案は6日に上程され、議決は8日。横浜の政治は、その成熟度が問われる。

住民投票条例の直接請求を行うため市役所に向かう市民団体=横浜市中区

 選挙で選ばれた代表者による間接民主制に対し、住民投票は直接民主制の手続きだ。武田教授は三つのポイントを上げる。

 第1は「住民投票は反対するための制度でなく、賛否両論を提示することが重要」という点だ。時に「投票するのは反対派だけ」と揶揄(やゆ)されるが、住民投票の本質を理解していない指摘だと批判する。

 「地域の課題について住民が賛否両論に耳を傾け、より説得的な意見に一票を投じることで自身の意思を政治や行政に反映させるのが住民投票であり、極めて中立的な制度です。住民は賛成と反対の双方の意見を比較しなければ自らの意見を適切に形成できません。実施時には賛否両論を示し、議論を深めることが求められます」

民意との乖離調整

 2点目として「住民投票は間接民主制と対立する制度ではなく、むしろ『間接民主制の機能不全』を是正する」と説く。

 選挙に勝る民主主義の制度はいまだ発明されておらず、多くの近代国家では選挙を中心とした間接民主制によって政治や行政が執り行われている。故に首長や議員は「選挙で民意は示されており、改めて住民投票を行う必要はない」と主張しがちだが、認識不足だという。

 「選挙は重要です。当選した代表者が民意に沿って行動していれば住民投票の必要はありません。しかし、間接民主制には重大な欠点がある。代表者が住民の望むことをしない、あるいは住民が望まないことをする事態が起こり得ます。『間接民主制の機能不全』と形容できる状況に陥った時、政治を住民の手に取り戻したいとの思いから住民投票が提起され、民意と政策の乖離(かいり)を調整する役割を担います」

 国内での住民投票は、1996年に新潟県巻町で原子力発電所建設を巡り実施されて以降、市町村合併を除き40件を超える。

 「投票結果に対して行政は『尊重する』義務があるだけで法的拘束力はありません。しかし、目に見える形で示された民意は重く、無視できない。大多数で結果が尊重され、政策が変更されています。つまり、直接民主制によって間接民主制の機能不全が修正され、住民代表としての本来の機能を回復しているのです。首長や議員には『住民投票は間接民主制の原則に反する』との根強い不信感があるが、間接民主制を阻害するどころか、むしろ補完し、活性化させるのです」

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