1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. やまゆり園事件裁判と優生思想 あぶり出た命の選別

刻む2020(7)
やまゆり園事件裁判と優生思想 あぶり出た命の選別

社会 | 神奈川新聞 | 2020年12月21日(月) 16:00

植松聖死刑囚

 「命の選別」という宿痾(しゅくあ)があぶり出された1年だった。

 やまゆり園事件の裁判が死刑判決の確定によって3月に終結後、新型コロナウイルス感染拡大による医療危機、7月の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者嘱託殺人事件と続き、旧優生保護法をめぐる訴訟の一審判決が2件言い渡された。

 それぞれの断面を、命に優劣をつける優生思想が貫く。新型出生前診断(NIPT)の実施施設拡大の是非について、国が検討を始めたのも今年だった。

よみがえる思想

 園を襲撃した植松聖死刑囚が入所者43人を殺傷したのは、「重度障害者は生きている意味がない」と決め付けたからだった。「時間とお金を奪う不幸からの解放」と強弁し、安楽死の法制化を独善的に構想した。

死刑判決が言い渡された津久井やまゆり園事件の裁判員裁判=3月16日、横浜地裁(代表撮影)

 そもそも、「生きるに値しない命」という思想の源流は、ちょうど100年前に求められる。ドイツの刑法学者カール・ビンディングと精神科医アルフレート・ホッヘによる共著「生きるに値しない命を終わらせる行為の解禁」(1920年)で初めて登場した。いわく、「精神的に死せる者」(精神障害者)は「生きるに値しない」と断じ、安楽死は「福祉にとって望ましい目標」と主張した。

 障害者らの大虐殺を安楽死政策として正当化し、実行したのがナチスだ。「T4作戦」と呼び、39年から20万人以上がガス殺や薬殺で犠牲になったとされる。

 ドイツのガス室跡を2015年に訪ねた日本障害者協議会代表の藤井克徳さんは、やまゆり園事件の裁判を傍聴した障害当事者の一人だ。「ナチスの思想が時空を超え、よみがえったと思った」。優生思想は現代の日本にも脈々と息づいている、と警告する。

コロナ禍の優劣

 翻ってコロナ禍。医療崩壊に直面した欧米で、集中治療室や人工呼吸器が逼迫(ひっぱく)し、治療は「障害者や高齢者より若者優先」というトリアージが先鋭化した。

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題。詳しくはこちら

刻む2020に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング