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追う!マイ・カナガワ パートナー紙から 西日本新聞
迷える幹事 板挟み… 新成人、コロナ禍の同窓会は

社会 | 神奈川新聞 | 2020年12月17日(木) 05:00

 「『いっそ世論から批判されれば、楽に中止できる』という考えに至るまで、疲弊しています」-。このコロナ禍に、同窓会幹事を担う男子大学生(20)の悲痛な声が、西日本新聞のオンデマンド調査報道「あなたの特命取材班」に寄せられた。例年だと成人式に合わせて各地で盛んに開かれる同窓会。その開催を巡り、積極派と慎重派との間で板挟みになっているという。

コロナ拡大直前の今年1月に行われた福岡市の成人式。来年1月の状況は予測がつかない(西日本新聞社)

 男性は福岡市出身。県外の大学に進学したが、地元の出身中学の幹事を担う。

 同窓会は校名を掲げて開催するため、男性はまず中学校に相談したが、明確な中止要請はなかった。「かかわりたくないから、やるなら勝手にやってくれという趣旨だった」

 一方、高校の同窓会は中止となる連絡が担当幹事から届いた。学校、同窓会事務局との3者で話し合い、比較的スムーズに決まったと聞いた。

 中学校の幹事グループ内では開催積極派が主流という。男性は最近の新型コロナウイルスの感染拡大傾向や、直前での中止に伴うキャンセル料の処理などを考慮して開催には慎重。「このまま計画を進めていいものか、帰省して自分も参加すべきか」。思い悩んで取材班に投稿した。

 男性は会員制交流サイト(SNS)などを通じ、市内のほかの学校の状況も独自に調査した。「開催」「中止」「未定」の判断は割れているという。

 取材班は意見を本紙ウェブサイトで募集した。寄せられた声は男性に同情的なものが多い。

 投稿名「メタボ爺」さんは「酒が入り、校歌や応援歌を歌い、体を寄せ合って記念撮影。感染リスクはとんでもなく高い。いわゆる接待を伴う飲食店と同じ状態ではないか」と懸念。東京など全国各地から帰省するリスクも指摘する。

 投稿名「luna」さんは「どちらを選択するにしても、批判する人はなくならない」と男性の立場を思いやった。自身は「独り身なら(参加を)考えるが、感染した場合、家族や周囲に多大な迷惑が掛かる」。別の投稿者も「それぞれが友達と数人で食事するだけにしては」と書き込んだ。

 オンラインで同窓会を開催する案も。投稿名「退職者」さんは「式前後にグループで写真を撮った後、解散してもらったりとか。中止するのは簡単だが、感染を防ぎながら開催する方向で考えてほしい」と提案し、感染対策との両立を期待。ほかにも「開催する際には、国、自治体が定めたルールの徹底を求めたいですね」との指摘もあった。

 ちなみに福岡市の成人式は来年1月11日に実施予定だが、感染状況次第で中止の可能性もあるという。「式典が中止となった場合、晴れ着などのキャンセル料は補償いたしかねます」と注意を呼び掛けている。

 「一生に一度の機会」がウイルスに左右される、やるせなさ。「クラスター(感染者集団)が発生した時の社会的影響など、ほかの幹事に説明しても理解されない。自分たち世代の認識の甘さを痛感させられた。やるにしても、会場を押さえるのもこれから。本当にできるのか…」。男性の心配は尽きない。

(西日本新聞社)

 
 

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