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乳がん治療の恩返し 臨床試験資金のクラファンに協力訴え 

社会 | 神奈川新聞 | 2020年11月29日(日) 13:00

クラウドファンディングへの協力を呼び掛けるチラシを持つ関山厚子さん

 乳がんの10~15%を占めるとされる「トリプルネガティブ乳がん」の治療に関する臨床試験のため、神戸大医学部の谷野裕一特命教授が、資金をインターネット上で募るクラウドファンディング(CF)を行っている。かつて谷野さんに乳がんを治療してもらったクラフトアート作家・関山厚子さん(58)=座間市=は、闘病中の苦しかった体験を胸にCFへの協力を呼び掛けている。

 谷野教授は、北里大学病院(相模原市南区)に勤務していた約5年前に、関山さんの乳がん手術に携わった。関山さんは「再発の不安はあるが、こうして生きていられるのは谷野教授のおかげ。恩返しのためにもCFに多くの人が協力するよう呼び掛けたい」と話す。

 谷野教授によると、トリプルネガティブ乳がんは、30、40代の発症が多いといい、再発のリスクも高いとされる。その特性からほかの乳がんの再発防止に有効なホルモン治療薬などが効かないという。また、代表的な抗がん剤が効かないケースもあり、有効な治療薬が求められている。

 そこで谷野教授は20年以上前から卵巣がんなどに使われている抗がん剤「カルボプラチン」に注目。英国やドイツの研究で「トリプルネガティブ乳がんの再発時に有効」とのデータがあるが、効果について定まった知見はなく、治療薬としては用いられていない。

 谷野教授は有効性を証明するため、神奈川を含む全国の26施設で臨床試験を行う意向。計270人の患者に協力してもらい、数年間にわたりデータを収集する。有効性が証明され、治療薬として認められれば「年間、千人近い命を救える可能性がある」と期待する。

 そんな谷野教授の模索を知った関山さんは「手術など治療はもとより、孤独や不安感を和らげてもらうなど、心身ともに谷野教授に支えられた」と感謝。夫もがんで亡くしており、「私はトリプルネガティブ乳がんではなかったが、乳がんを患った身として、多くの人の命が助かるよう支援したい」と話す。

 CFは目標額2千万円で12月25日午後11時まで行う。谷野教授は「臨床試験を行うにはCFが頼みの綱」と呼び掛ける。CFは神戸大のウェブサイト、もしくはhttps://readyfor.jp/projects/tnbc-research

 
 

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