男性ゆえに抱く「生きづらさ」の正体とは何か。「男らしさ」にとらわれず生きていく道はどう描くのか。さまざまな立場で、葛藤しながらも前を向く男性の今を追った。
育休相談、上司は渋い表情
昼休みの公園。ベンチに腰掛け、缶コーヒーを一気に流し込んだ。
「俺は会社の奴隷じゃない」
横浜市の男性会社員(32)がこぼした。目の下にはくまが浮かび上がる。この春、次男が生まれたばかりの父に笑みはなかった。
県内中小メーカーの営業職で10年目。売り上げの厳しいノルマを達成しようと毎日残業に明け暮れる。それでも、休日出勤もいとわない同期や先輩たちに営業成績で「差をつけられる一方」。働き方改革など、どこ吹く風だ。
第2子誕生で育児休業を取得しようと上司に相談したら、渋い表情で「何日?」と迫られた。