
憲法公布から74年となった3日、集会「平和といのちと人権を!11・3大行動」が国会前で開催された。約3千人(主催者発表)が参加し、新型コロナウイルス感染症が広く影響する中、憲法の理念を基本とした「命の尊厳」を守る社会の実現を訴えた。また、日本学術会議の任命拒否問題を巡る集会も開かれた。
七つのテーマで、菅政権の矛盾を指摘
大行動は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催。安倍・菅政権の新自由主義路線の矛盾がさまざまな局面で露呈しているとして、差別、格差、医療など七つのテーマで行われた。
医師の伊藤真美さんは「自助・自立のために、まずは公助が大事」と述べ、菅義偉首相が掲げる「自助・共助・公助」を批判。「命を守る医療、暮らしを支える介護、人権を守る福祉に税金を返して」と求めた。
朝鮮大学校4年の女子学生は、コロナ禍で困窮する学生を対象とした給付金制度から同校が除外された問題に対し、「権利だけでなく、命までもが軽視されている」と強調。「在日朝鮮人への差別を放置することは日本社会から公平性を奪い、ひいては立憲主義を危険にさらす」と訴えた。
作家の北原みのりさんは「コロナ禍で女性がさらに追い詰められている」とし、自死の増加を指摘。緊急事態宣言下に出勤を強いられる女性非正規社員などの例を挙げながら、「コロナ禍でむき出しの性差別に苦しむ女性たちの声を聞いてください」と呼び掛けた。
学術会議任命拒否は「憲法違反の暴挙」
国会前では菅義偉首相による日本学術会議の任命拒否に抗議する集会も開かれた。マイクを握った学者たちは「憲法違反の暴挙」とそろって批判。「学問の自由だけでなく民主主義が脅かされている」と訴え、幅広い連帯を訴えた。
菅政権への批判相次ぐ 憲法公布74年の3日、国会前で集会
約3000人が憲法の理念を生かした社会の実現を訴えた集会=国会前 [写真番号:400010]
日本学術会議の任命拒否に抗議のアピールをする「安全保障関連法に反対する学者の会」の佐藤学・学習院大特任教授(手前左)=東京・永田町の国会議事堂前 [写真番号:400009]