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広がる荒唐無稽な陰謀論 米国では政界中枢まで侵食

社会 | 神奈川新聞 | 2020年10月28日(水) 13:00

Qアノンを表す「Q」のマークを掲げるトランプ米大統領の支持者=2018年8月、東部ペンシルベニア州

 陰謀論が跋扈(ばっこ)する。その勢力はとりわけ、大統領選が1週間後に迫る米国で中央政界を侵食するほど深刻化している。中心にいるのはトランプ氏だ。2016年7月、障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の入所者ら45人を殺傷した犯人も、トランプ氏の熱烈な支持者であり、陰謀論者だった。事件は、トランプ氏に触発されたテロだったのではないか。

 「9月7日、横浜に原子爆弾が落ちます」

 植松聖死刑囚(30)は1月、やまゆり園事件の裁判員裁判で、弁護人の質問に明言した。

 根拠はいわく、未来を予言する「イルミナティカード」だ。1枚の図柄に「横浜滅亡」が暗示されている、と主張。信奉者の定説によると、廃虚が描かれたそのカードは原爆投下後を意味し、風景が横浜・みなとみらい21地区に符合するという。

 9月7日は、延期前の東京パラリンピック閉会翌日に当たる。植松死刑囚は独自の解釈を加え、「パラ後が危ない」と予測した。

 園襲撃は「日本を滅亡から救うため」と証言。事件の動機はカードが暗示する「陰謀阻止」だった。

イルミナティカード 荒唐無稽な陰謀論をパロディー化したカードゲーム。「秘密結社イルミナティ」が世界支配をたくらむ物語として、1975年に米国で発表された小説が題材とされ、82年に米国のゲーム会社が商品化した。「イルミナティ」は18世紀にドイツで創設されたが、衰退。フィクション作品に取り上げられ、陰謀論と結びついた。

「横浜滅亡」暗示

「横浜滅亡」を暗示すると信じられているイルミナティカードのツイッター投稿

 その「9月7日」から1カ月余りが過ぎた。このカードを巡り、ネット上で新説が登場した。

 三浦半島や横浜市内で相次ぐ原因不明の異臭は、滅亡の前兆─。東京都の40代主婦は、そう信じる1人だ。「視覚に訴えるイルミナティカードは都市伝説や占いとは別物で、過去に的中もしている。一部の特権階級がたくらむ陰謀は、異臭騒動に表れているようにすでに始まっている」

 カードに詳しいSF作家の山本弘氏は「イルミナティの陰謀は存在しない」と断言。やまゆり園事件以前から予言は「デマ」と警告し続けるが、信奉者は絶えない。

Qアノンが台頭

 秘密結社のような黒幕が世界征服をもくろんでいるという陰謀論。1990年代以降に米国で隆盛を迎え、その要因の一つはソ連崩壊(91年)だと、米シラキュース大のマイケル・バーカン名誉教授(政治学)は指摘する。

 陰謀論は、「光」対「闇」という二極化した世界観が特徴だ。米側の自由主義とソ連側の社会主義という東西イデオロギーの対立構図が解消し、「世界が複雑化した反動で浸透した」と説明する。

 バーカン氏によると、インターネットの発達が陰謀論の拡散に寄与した。監視者不在のネット空間で、真実性が担保されないまま無制限に波及する。

 大統領選が11月3日に迫る米国。陰謀論はさらに政界中枢に食い込む勢いだ。

 「米国は『ディープステート』(闇の政府)に支配されている」。奇抜な主張を唱える「Qアノン」なる集団の台頭に、バーカン氏が警告する。「活気づかせているのは、トランプ氏だ」

いつしか主流に

 「バイデンはダークシャドー(暗い影)の人々に操られている」。米民主党の大統領候補について、トランプ氏は8月、報道番組でそう答えた。

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