
選択的夫婦別姓・全国陳情アクション事務局長の井田奈穂さん(45)は、看板政策の一つに「女性活躍」を掲げた安倍晋三前首相が、選択的夫婦別姓導入に消極的だったことに「女性が働く上での阻害要因を取っ払うのが先」と首をかしげる。菅政権が導入に向けた議論に取り組む姿勢を示したことで、井田さんも法改正への期待を高める一方、安倍政治の継承を掲げる首相の本気度を測りかねている。
昨夏の参院選に先立ち、日本記者クラブが開催した党首討論会。選択的夫婦別姓導入の是非を挙手で問われると、唯一手を下ろしたままだったのが当時の安倍首相だった。同6月のネット党首討論会では、選択的夫婦別姓について「経済成長とは関わりがない」などと発言し、物議を醸した。
「非常にがっかりした。人権の話を金の話にすり替えるべきではないというのが一つ。経済に寄与しないから人権を認めないというのはあり得ず、生産性があるかどうかという議論と一緒。税金を納めようが納めまいが、人には最初から人権がある。その意識をリーダーには持ってもらいたい」