猛烈な雨で神奈川県内各地が深刻な被害に見舞われた昨年10月の台風19号上陸から12日で1年。暮らしを取り戻し、再来に備える─。命の危険にさらされた人々の模索が続いている。

「歴史ある旅館を閉めるのは心苦しい。でも、お客さまや従業員の安全のため、やむを得ないと判断した」
今年に入り、閉館を余儀なくされた箱根町強羅の老舗旅館「強羅花扇 早雲閣」の関係者が打ち明ける。
94年余りの歴史に幕を下ろすことになったのは、2019年10月12日に来襲した台風19号の崖崩れに建物が巻き込まれたからだ。
女性従業員が土砂に
台風19号1年(3)土砂災害 紙一重のリスク回避
旅館が巻き込まれた土砂災害の現場。建物は取り壊され、崩落した背後の急傾斜地では復旧工事が進む=箱根町強羅 [写真番号:377623]
斜面から3万立方メートルもの土砂が崩落したと推定される国道138号の被災現場。仮設橋が設置された=箱根町仙石原 [写真番号:377688]