安倍首相が辞任する。憲政史上最長在任となった7年8カ月の期間中、何をなし、何をなさなかったのか。安倍政治を現場から検証し、今後を考える。
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一報はSNS(会員制交流サイト)のニュース速報だった。8月28日午後2時すぎ、沖縄県名護市の米軍辺野古新基地建設を巡る県民投票をけん引した元山仁士郎さん(28)は安倍晋三首相の辞意を知った。
「安倍政治」に抗(あらが)い続けた。2013年の特定秘密保護法、15年の安全保障関連法-。思いを一にする仲間とデモを重ね、反対の声を上げ、民主主義を、立憲主義を、この国の「かたち」を問い続けたが、「倒れなかった、倒せなかった」。その幕があっけなく引かれる。にわかに信じがたく、次いで悔しさ、腑(ふ)に落ちない思いがこみ上げた。
検証・安倍政治(1)民主主義 民意軽視 国も地方も
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米軍辺野古新基地建設を巡る県民投票の翌日も土砂投入は続き、多くの人々が抗議した=2019年2月25日、沖縄県名護市 [写真番号:337274]