1923年の関東大震災から97年を迎えた1日、横浜市内で犠牲になったインド人を慰霊する式典が、山下公園(中区)の「インド水塔」で行われた。死者・不明者が10万5千人を超えた大震災では多くの外国人が被災し、インド人は28人が亡くなったという。両国の関係者約20人が参列し、異国の地で無念の死を遂げた人々に祈りをささげた。
横浜ムンバイ友好委員会の主催。参列者は地震が起きた正午前に合わせてインド水塔前で黙とうし、菊の花を供えた。新型コロナウイルスの感染対策で規模を縮小し、在日インド商工協会(中区)や市国際局の幹部らが顔をそろえた。
インド水塔は、被災したインド人を援助した横浜市民に感謝の意を伝えようと、横浜インド商組合が39年に市に寄贈した。80年以上が経過し、現在は本来の水飲み場としての機能が果たせていないという。
横浜ムンバイ友好委員会の委員長で市議の花上喜代志さんは式典で「横浜とインドの交流の歴史を示す貴重なモニュメント。修復を進めていき、未来永劫(えいごう)残していこう」とあいさつし、日印交流の発展を誓った。
式典は、横浜在住だったチャンドル・アドバニさん=享年(93)=が85年ごろに始めた。今年で55周年を迎えたインド・ムンバイ市と横浜市の姉妹都市提携のきっかけをつくった貿易商で、息子のナリン・アドバニさん(55)はシンガポールから駆け付け、「3年前に(横浜で)亡くなった父はインド水塔を毎日のように清掃し、市の職員とともに大切にしてきた。修復されると聞いて喜んでいることでしょう」と話した。
インド人犠牲者28人に祈り 関東大震災から97年
関東大震災が起きた時間に合わせて黙とうをささげる参列者 [写真番号:333672]
インド水塔に献花し、震災犠牲者を悼むナリン・アドバニさん=1日正午ごろ、横浜市中区の山下公園 [写真番号:333671]