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語り継ぐ関東大震災
未曽有に学ぶ(上)複合災害 前後の雨で崩落多発

社会 | 神奈川新聞 | 2020年9月1日(火) 10:20

関東大震災後の豪雨による土石流の惨状を示した写真(伊勢原市教育委員会所蔵)

 蒸し暑い晩夏の一日だった。大地を切り裂くような猛烈な揺れが起きたのは、正午直前。家々がつぶれ、人々が逃げ惑う中、やがてあちこちから上がった火の手が空を焦がしていった。

 1923(大正12)年9月1日午前11時58分。小田原付近を震源とするマグニチュード(M)7・9の巨大地震が発生し、震度7に相当する激しい揺れが各地を襲った。

 死者・行方不明者が10万5千人を超え、未曽有の災禍となった関東大震災。大火に見舞われた東京や横浜の犠牲者が大半を占め、その惨状が象徴的に語り継がれてきた。その一方で、山あいの地域には、焦土と化した市街地とは異なる光景が広がっていた。

 〈山津波、ガケ崩れ…山の家は一転してガケ崩れで所どころ緑を残すだけ。裏山の大木はなんと横だおし、そのやわらかい土を雨が押し流してくる。本当に手を出せない様である〉

 〈その時、突然上下の激しい揺れが襲って来て、台所の窓からドドッとドロの海が飛び込んで来ました。前日は大雨だったので裏山がゆるんでいたのだと思います〉

 震災の約60年後に秦野市が発刊した「関東大震災体験記」。激震の中を生き抜いた人々の記憶に残っていたのは、気象災害の側面もあった地震後の土砂災害だった。山津波とは、山や谷の土砂が雨水などと混じり合って斜面を一気に流れ下りる土石流のことだ。

記憶たどる

 当時の気象観測の資料によれば、8月31日に九州付近にあった台風が勢力を弱めながら9月1日朝、北陸に達していた。その間、降り続いた雨の印象は強かったとみられ、「体験記」でも多くの人が震災直前の天候に言及している。

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