◆40年前、市に届け出なく…
長井漁港(横須賀市長井)の工事現場で昨年5月、所有者不明の水道管が見つかった問題で、市は15日、地元の長井町漁業協同組合が県の承諾を得て1974年に敷設していたことを確認した、と明らかにした。漁協には当時の資料が残っておらず、市にも給水を届け出た記録がないことから、敷設から40年以上が経過して「盗水」騒ぎとなっていた。
市は未払いの水道料金のうち、時効分を除いた2007年3月から15年8月までの基本料金相当額に当たる9万7131円を、同漁協が支払うことで合意したことも公表した。
市によると、同漁協は1973年、漁港に隣接する県立高校施設の専用管に接続するため、県の分岐承諾を得た。翌74年の漁具倉庫建設に合わせて給水管を敷設。水道は倉庫を解体した2015年まで使われていたとみられる。
新たに、当時の県知事と組合長名が入った分岐承諾の書類や、県の決裁文書が見つかったという。ただ、市には給水申込書が届いた形跡がなく、40年近く水道料金を徴収できなかった。実際に水道管を敷設した工事業者や利用者を特定する資料も見つかっていない。
同漁協は「当時の組合長の判断で行ったと思われるが、漁協内に情報が伝わっていなかった。お騒がせして申し訳ない」とコメントしている。
不明水道管問題を巡っては、同漁協が昨春に横須賀署へ相談し、市や県立高校も被害届を出していた。同署は「捜査の結果、正規の工事で事件性はなかった」としている。