
亡夫から受け継いだ味を守りたい-。横浜市南区でケーキ店「フロランタン」を営む中村キヨ子さん(78)。初代店主の夫・和成さんが亡くなって17年。2016年度県優良小売店舗の一つに選ばれ、和成さん直伝の昔ながらの手作りケーキの魅力を伝えようと、意欲を見せている。
六ツ川地区の県道沿いで地元住民に慣れ親しまれている看板が目に入る。
店内には、バター、砂糖、卵、生クリーム、チョコレート、ナッツ、フルーツなどの素材を使ったケーキが並ぶ。南区の「みなみやげ」に選ばれたチョコレートケーキ「バンドオペラ」など素朴で優しい味が人気。常連客が中村さんと話しながら笑顔で買い求める。
1979年12月に開店。有名パティシエのクロード・ボンテさんの指導を受けたこともある和成さんのケーキは評判を呼んだ。
ところが、2000年9月、和成さんが病気のため65歳で急死。「もうケーキを食べてもらうことができないかもしれない」。目の前が真っ暗になったという中村さんだが、家族や和成さんに教わった職人の支えで、店を継続することができた。
昨年11月、県から表彰を受け、中村さんは思いを新たにしている。
「夫がこだわった無添加の素材を使い、一つずつ丁寧に手作りした安全、安心でおいしいケーキをさらに多くの人に食べてもらいたい」
月曜定休。問い合わせは同店フリーダイヤル(0120)742618。