
鎌倉など4県市が世界文化遺産登録を目指した「武家の古都・鎌倉」が国内推薦を取り下げてから約4年。再挑戦の可能性を探る研究を続けてきた4県市の世界遺産登録推進委員会は11日、研究結果を鎌倉生涯学習センター(鎌倉市小町)で報告した。研究者や社寺関係者が今後の課題についても話し合った。
同委員会は2013年度から、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)から受けた不登録勧告を検証。さらに鎌倉の文化遺産の要素と類似する国内外の史跡と比較し、相違点を探ることで鎌倉の価値をより明確にしようと取り組んできた。
16年度までの比較研究の成果として▽中国の南宋五山にならった伽藍(がらん)配置をみると、建長寺が日本における禅宗寺院の始まりと考えられる▽円覚寺舎利殿が禅宗様建築の典型となって全国に拡散した-などを報告。石窟の埋葬遺構「やぐら」の希少性や鶴岡八幡宮の独自性も強調した。
パネリストとして出席した河野眞知郎鶴見大名誉教授は「世界に対して価値を分かりやすく説明することが求められる。禅はそのための力になるだろう」と指摘。浄智寺の朝比奈恵温住職は「寺は異文化交流の場で、鎌倉はいろいろな要素がまざり集積している」と会場に集まった約100人に魅力を語った。