
川崎市立日本民家園(同市多摩区枡形)で農村歌舞伎を披露する舞台の客席が今夏に整備され、新たな客席で開園50周年を記念した初のオペラ上演が検討されている。外国人観光客の増加に対応し、土の地面にシートを敷いて座る現在の客席を約300人収容のベンチ席に変更する。事業費が17年度当初予算案に盛り込まれた。
客席が整備されるのは、国指定重要有形民俗文化財の船越の舞台。江戸時代末期の建築で三重県志摩半島の漁村にあった神社境内から移築された。毎年11月に農村歌舞伎公演が行われているが、土を階段状に固めた席は雨の後は使用できないなどの問題があった。
このため客席に土の風合いが残る舗装を施した上で約300席分のベンチを設置し快適にステージを鑑賞できるよう整備する。工事は夏前から9月末までに行い歌舞伎公演に間に合わせる予定という。
新たな客席と歌舞伎舞台を音楽イベントに活用するため、園は多摩区と連携し50周年事業として初のオペラ公演などを検討。2018年3月実施へ向け、両者は「和のたたずまいに調和した演目」を調整している。
オープンから半世紀を迎える園は来年度、清川村から移築した県指定重要文化財である岩澤家住宅のかやぶき屋根の全面ふき替えを約1カ月かけて実施。本館にある企画展示室を4月下旬にリニューアル、50年の歩みを振り返る企画展を始める。
震度6強の地震でも倒壊を免れるよう10月完了を目指し進められている三澤家住宅の免震構造の耐震補強工事、来園者用施設整備などを含めた園の予算案は計約3億2400万円。
園は「東京五輪・パラリンピックに向け、日本人も外国人ももっと楽しめる施設整備と企画を充実し知名度を上げていきたい」としている。
