1. ホーム
  2. ニュース
  3. 話題
  4. じっくり飯田線 登って下ってくぐって200キロ

鉄道コラム 前照灯(255)
じっくり飯田線 登って下ってくぐって200キロ

話題 | 神奈川新聞 | 2016年8月5日(金) 12:00

勾配を降りてきた電車と宮田駅で交換(写真はいずれも先頭車内から写す)
勾配を降りてきた電車と宮田駅で交換(写真はいずれも先頭車内から写す)

 急に飯田線に乗りたくなって朝一番のスーパーあずさで駆け付けた。上諏訪発の各駅停車豊橋行き。時刻表をみると元私鉄の路線だけに駅がびっしりと連なる。全線を乗り通すのは大変だが、年を取ると、その丹念な足取りが好ましくもなる。


「秘境駅」の一つ田本。誰も降りず、崖地ホームにはファンの姿もなかった
「秘境駅」の一つ田本。誰も降りず、崖地ホームにはファンの姿もなかった

 最初の目当ては沢渡-赤木間にある、現在JR線で最大の勾配。沿線には天竜川とその支流が形成した河岸段丘や田切地形が続く。いちいち迂回していられないとばかり電車はそれらの起伏にひょいと上る。その一つが40パーミル。難所といえば拍子抜けする。穏やかな人里にあるのが不釣り合いだ。

 天竜峡の駅から添乗員付きの団体が乗ってきた。年配の女性ばかり。「秘境駅ローカル列車の旅」なるパンフを手にする。山峡にかかると、谷だ、トンネルだ、無人駅だ、とやかましくなった。その険しさに目を見張り、ひるがえって自らの暮らしの安寧を確認し合うのだ。だが、すぐ車窓には飽きて世間話が始まった。


第6水窪川橋梁(通称・渡らずの橋)にかかる。鉄橋がカーブを描いている
第6水窪川橋梁(通称・渡らずの橋)にかかる。鉄橋がカーブを描いている

 やがて彼女たちは平岡で降りてしまった。お楽しみはこれからだ。大嵐からは長いトンネルで一気に天竜本流を離れ、支流の水窪川に出る。対岸に渡るとみせて再び元の岸に戻ってくるS字鉄橋(通称・渡らずの橋)も面白い。なぜこんな変則的な転進や架設をしたのか。謎解きのできる人も少なくなった。

 中部天竜の駅で運転士が交代した。5人目である。豊橋はまだ遠い。上諏訪から213キロ、所要約7時間、途中停車駅94。鉄路を開いた先人は偉い。(F)


東栄駅の駅舎にギョッ。地元の奇祭「花祭り」の鬼面をモチーフにしている
東栄駅の駅舎にギョッ。地元の奇祭「花祭り」の鬼面をモチーフにしている

前照灯:鉄道を愛する記者コラム

前照灯に関するその他のニュース

話題に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング