昨年5月に開園50周年を迎えたこどもの国(横浜市青葉区)が「50年史」を出版した。執筆した三国治園長(60)は「自然の中で子どもが安全に遊べる場所という役割を担い続けてきた50年の歩みを知ってもらえれば」と話している。
こどもの国は、天皇皇后両陛下が結婚時に全国から寄せられたお祝いを「子どものための施設に使ってほしい」と提案したことから計画され、1965年5月5日に開園した。同区と東京都町田市にまたがる広さ約100ヘクタールの自然の遊び場で、アスレチックやミニSL、プール、牧場、こども動物園などがある。
記念誌は50周年記念事業の締めくくりとして企画し、開園から現在までの歩みを、A5判416ページの読み応えのある内容にまとめた。
当時皇太子だった天皇陛下の希望を受けて、牧場も含めて自然の遊び場という形になった経緯や、宅地開発が進む中で貴重な緑を守ったり、早いうちからボランティアを活用したりと社会的な役割も果たしてきたことを紹介。皇室や著名人の来園時のエピソードなども盛り込まれている。
同園の入園者数は81年度に108万人とピークを迎えたが、子ども人口の減少などで2000年度には65万人まで減った。しかし01年度からは回復傾向にあり、14年度は84万人を超えた。50年間の有料入園者は4200万人を超える。
三国園長は「開発が進んで遊び場が減る中、自然の中で子どもが身体を動かし、自ら工夫して遊べるこどもの国の価値は、今後ますます高まっていくのではないか」と話している。
冊子は近隣学校や図書館などに配布している。