原子力災害時の甲状腺障害予防に効果があるとされる安定ヨウ素剤の取り扱いを学ぶ研修が29日、横須賀市西逸見町の市保健所で開かれた。市立病院の関係者や市薬剤師会員ら約30人が参加し、実際に水薬の調製を体験した。
米海軍横須賀基地や原発用燃料メーカーがある同市は、市民全員分を上回る錠剤約83万錠を行政センターなど15カ所に備蓄。就学前の乳幼児向けの粉薬も市立病院に保管しており、内服液に調製してから配る必要がある。
研修では、3月に期限切れとなった薬剤を使用。参加者はマニュアルに沿ってヨウ化カリウム粉末を注射用水やシロップで溶き、5リットルのポリタンクに詰めていった。タンク一つで乳幼児2500人分ほどに相当するという。
調剤体験に先立ち、市の担当者が原子力防災対策の取り組みなどを説明。参加した市薬剤師会の石田繭子理事は、「わずかな分量の違いが多くの人に影響を与える作業。街の薬剤師は避難所で市民に配る立場になるが、調製方法を知っておくことは大事」と話していた。