
鎌倉産の木材を使ったオリジナルのアロマオイルが完成した。地元のアロマセラピストが、「香りの地産地消」を目指して自ら蒸留。環境にも優しい癒やしの香油だ。
「鎌倉の香油 森林」を製造するのは宮地一美さん(54)=鎌倉市岡本。アロマオイルは外国産の原料がほとんどだが、地元のものでつくる「鎌倉の香り」の構想を長年温めてきた。
徐々に協力者が増え、地元企業や里山のボランティア団体から市内の森で出たスギやヒノキの間伐材を提供してもらえることに。昨年には市の「商工業元気アップ事業」に認定され、実現へ動きだした。
当初は蒸留の外部委託を考えていたが、コストがかかることから蒸留器を購入。間伐材6キロを4時間蒸留し、60ミリリットルの精油を自ら抽出する。気が遠くなるような作業を続け、アロマオイルとスプレーを作る。
「香りは心に安らぎを与える」。宮地さん自身、子育てと父親の介護が重なって体調を崩したとき、救いになったのが趣味のアロマだった。資格を取得し、40代でアロマセラピストに。転機は8年前、市内の高齢者施設に呼ばれたことだ。
80~90代のお年寄りにアロマセラピーをすると、ふるさとや子どものころの思い出をいきいきと語り出した。「香りは人の記憶を呼び覚ます」と気付いた。
「鎌倉を訪れた観光客がこの香りで楽しい旅の記憶を思い出し、疲れた心を癒やしてくれたら」。森林や間伐材といった地元の環境にも目を向けてほしいと願っている。
アロマオイルとスプレーのセットは6千円(税抜き)。単体でも販売する。取扱店などの問い合わせは、宮地さん電話090(2156)3987。