鎌倉時代から南北朝時代にかけて使われた湯屋の一部とみられる石組みの井戸の跡が4日、伊勢原市上粕屋の上粕屋・和田内遺跡で一般公開された。
湯屋は貴人が湯を浴びて体を清めたとされる場所。宮中や寺などに限られるため東日本では遺構自体が珍しく、同遺跡では水を供給する井戸と湯を沸かしたかまど、排水溝などが1カ所にまとまって発見された。
「厨(くりや)」(台所)の可能性も残るが、平安後期から明治にかけて「極楽寺」という寺がこの地に存在していたことから、寺の湯屋の遺構の一部と推測されている。
同遺跡は国道246号(厚木秦野道路)建設に伴い、2014年11月からかながわ考古学財団が発掘調査を開始。旧石器時代の石器や、縄文時代から平安時代にかけて使われた竪穴式住居跡などが見つかっている。
4日に行われた見学会には、市民ら225人が参加。同財団職員の解説を聞きながら遺跡を見て回った。同市内の会社員藤木浩さん(51)は「これだけ住居が見つかるということは、昔から生活しやすい場所だったんでしょうね」と話していた。