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『スター・ウォーズ』と『ベルばら』で読み解く憲法の素顔

話題 | 神奈川新聞 | 2016年6月2日(木) 12:56

『スター・ウォーズ』と『ベルばら』で読み解く憲法の素顔(写真:女性自身)
『スター・ウォーズ』と『ベルばら』で読み解く憲法の素顔(写真:女性自身)

 7月の参議院選挙がいよいよ目前に迫り、憲法をめぐる議論が新聞やテレビのニュースをにぎわしている。しかし、いまひとつ難しくてピンとこない人も多いのではないだろうか。そんな中、映画や漫画といった身近な素材を使って、憲法の“本質”を解説する弁護士が話題を呼んでいる。

 「安倍政権が掲げる自民党の改憲草案は、権利を制限する、とても危険なものです。でも、それに対してただ怒りの感情をぶつけるだけでは何も変わりません。怒りというダークサイドに落ちることなく、楽しみながら共感の輪を広げる必要があるのだと思います」

 こう語る内山宙弁護士(41)は、裁判所の職員から転身した異色の弁護士だ。2012年に公表された自民党の改憲草案に危機感を覚えて設立された「明日の自由を守る若手弁護士の会」(通称・あすわか)のメンバーでもある。

 これまでも憲法の成り立ちや仕組みをわかりやすく説明する「憲法カフェ」の講師として精力的に活動してきた内山弁護士だが、『スター・ウォーズ』や『ベルサイユのばら』を例にとりあげたことの反響の大きさに驚いている。では、実際にスター・ウォーズやベルばらを憲法という視点で見ていくというのはどういうことなのだろう。

 「スター・ウォーズでは、国の危機に瀕した銀河共和国で非常事態宣言が発令されます。これにより強大な権限が議長に与えられ、やがて共和政は廃止、帝国の樹立へとつながります。これらが議長の陰謀だと気付いた騎士たちは議長の打倒に立ち上がりますが、もはや後の祭りなのです」(内山弁護士・以下同)

 さらに、スター・ウォーズでは非常事態宣言には元老院の承認が必要だったが、自民党が提案している緊急事態条項は、内閣の宣言に対し国会は事後承認をするだけで、銀河共和国より歯止めが弱い。

 「誤解があるといけませんが、危機に備えること自体は必要です。しかし、非常事態という名の下に、権力者が悪だくみをできる“可能性”が出てきてしまい、しかも歯止めがないというのは問題です。憲法というのは、私たち主権者と権力者のあいだで交わされた、いわば契約書のような存在。非常事態だからといって、簡単に白紙委任はできませんし、そもそも本当に非常事態かどうかの判断すら、秘密保護法が成立した現在では明らかにできません」

 契約書の不備を徹底的にチェックするのは法律家としては当然のこと。そして、自民党の改憲草案という契約書には重大な不備があり、そのまま契約すると、これまで多岐にわたり保障されていた権利が制限されてしまうという。

 一方、悲劇の王妃マリー・アントワネットと男装の麗人オスカルを描いたベルサイユのばら。この名作を、内山弁護士は憲法という視点からこう解説する。

 「女の子ばかりの姉妹のなかに生まれたオスカルは、将軍である父、レニエ伯爵の意向により男性として生きることを余儀なくされ、愛する男性に告白できません。これは自分らしく生きることを保障した憲法13条に反します。個人の尊重と呼ばれる条文です。さらに、軍人として生きるよう決められていたことは、これも憲法24条の職業選択の自由が制限されていたといえるのではないでしょうか」

 さらに、平民である従者のアンドレが、貴族のオスカルとは結婚できないという関係も、法の下の平等や貴族制度の否定を定めた憲法14条に反する。また、政略結婚させられたマリー・アントワネットも、憲法24条による両性の合意による結婚の自由を享受できなかったことになる。

 「これらの作品も、明確にこうした問題意識をもって描かれたわけではないでしょう。ですが、現実はこれらの作品世界にどんどん近づいてきているように感じています」【女性自身】

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