太平洋戦争中、大和市と座間市にあった日本海軍の航空機工場「高座海軍工廠(しょう)」で働いた台湾人の元少年工と家族計27人がこのほど、恒例となる来日をした。今年は台湾で8年ぶりの政権交代で親日的な政権が誕生したばかりで、元少年工も両国関係のいっそうの緊密化を期待している。
元少年工は戦争中、地元住民から受けた親切に感謝し、日本を「第二の故郷」と懐かしみ、訪問を重ねている。同窓組織の「台湾高座会」は最盛期は4千人ほどの会員数を誇り、「世界一の親日国」と呼ばれる台湾で最大の親日団体と評され、親日感情の醸成に大きな貢献をしてきた。
今年の訪問団は元少年工12人と家族ら15人。つえを突いたり、車いすに乗ったりしている人もいた。戦争中は8400人を数えた少年工も高齢化で平均年齢は80歳代半ば。鬼籍に入った人も少なくない。
そんな中、彼らの希望は20日に就任した蔡英文総統に代表される親日的な若い世代の台頭だ。ある元少年工は「台湾と中国は別の国。ようやく中国人の手から、台湾を取り戻すことができた」と心から喜ぶ。
27日は靖国神社(東京都千代田区)を参拝し、空襲や病気で亡くなった約60人の仲間を慰霊した。台湾高座会の李雪峰会長(89)は「安倍晋三首相は親台派。台湾も親日政権ができた。両国がスクラムを組み、アジアの平和のために貢献したい」と話している。
一行は28日に海老名市内で開かれる歓迎会に出席。29日には大和市にある慰霊碑を参拝する。