少子高齢化、人口減少に直面する真鶴町が起業や起業支援イベントの舞台となっている。28、29の両日には、プロの音楽プロデューサーらを講師役にアーティストへの楽曲提供などに挑戦するイベント「クリエイターズキャンプイン真鶴」が開かれる。真鶴での開催は昨年に続き2回目で、町からは「真鶴で作られた楽曲が世に出れば、(地元の)自信にもつながる」と期待の声が上がっている。
同キャンプは大学教授や音楽プロデューサーらで構成される団体「START ME UP AWARDS」の主催。同団体は音楽や映像などの分野で起業支援を目的としたイベントを開いており、同キャンプもその一環。
いくつかのプログラムで構成。アーティストへの楽曲提供を目指すプログラムでは、初対面同士の参加者が3人程度のグループをつくり、それぞれの役割を分けた「コーライティング」と呼ばれる手法での楽曲制作を体験する。泊まり込みで24~30時間以内にデモテープを完成させる。昨年は国内外から作曲家志望者ら100人以上が参加。実際にレコード会社の目に留まった楽曲も生まれた。
真鶴町が開催地として選ばれたのは、同団体が創作意欲の喚起を目的に▽都心からやや離れている▽自然に囲まれた-場所での実施を検討していたためだ。
町は都心から電車で90分程度の距離。1994年にはまちづくり条例を施行するなど景観保護にも積極的だ。2014年からは地元住民が中心となって起業家の輩出を目指すイベント「スタートアップウィークエンド」も3回実施。同団体事務局も「都心からのアクセスが良く、起業支援の取り組みの土壌がある」と同キャンプ開催の決め手を明かし、実際の創作活動への効果も認めている。
起業関連イベントの定着で「『起業体験と言えば真鶴』という認識を広めたい」という町企画調整課は、起業同様に若者が夢に挑む今回のキャンプにも期待を寄せている。「新しいことを始められる場所だということが広まり、ものをつくるために真鶴に(人が)来る流れができれば」