富岡八幡宮(横浜市金沢区富岡東)の無病息災を願う伝統神事「祇園舟(ぎおんぶね)」で使う奉仕舟(ほうしぶね)2隻が、約80年ぶりに新造された。山口県の造船所で造られた新舟が12日にお披露目され、保存会員は伝統継承への思いを新たにした。
毎年7月に行われる祇園舟は八幡宮創始以来約800年の歴史を誇る神事で、1990年に市無形文化財の第1号に指定された。
旧奉仕舟が使われ始めたのは37年。内部が腐るなど老朽化が進んだため、佐野主水(もんど)宮司(68)が計650万円を投じて2隻を新造した。
新奉仕舟は旧舟と同じ仕様で全長約10メートル、全幅約1・5メートル。ヒノキとスギを使い、長いへさきや5人のこぎ手を配置する五丁櫓(ごちょうろ)と呼ばれる構造を再現した。
祇園舟保存会の野本太助副会長(76)は「立派なものを造ってもらい感謝している。神事を次の世代へ受け継げ、うれしい」と目を細めていた。
6月19日に八幡宮近くの海岸で進水式を行う。祇園舟の実施日は7月17日。