戦前に外国航路の定期客船や貨客船を運航していた船会社が乗客に配った絵はがきを集めたミニ展示コーナーが、横浜市中区の横浜港大さん橋国際客船ターミナルに常設されている。
絵はがきは、税関に約40年勤務した笠原喜保さん(69)=川崎市宮前区=が収集したもの。2千枚近くのコレクションから、日本郵船が乗船記念のために作成した38枚を厳選した。
米サンフランシスコ航路に就航し、その豪華さから「太平洋の女王」と親しまれた「浅間丸」をはじめ、欧州航路などで活躍した客船や貨客船が描かれている。日本の風景や花鳥風月、美人画などを取り入れたデザインもあり、金を含む多色刷りで色鮮やかだ。
欧州航路の花形船として1914年に就航した「諏訪丸」の絵はがきは、さまざまな花や美人画、農村の風景など8種類が展示。同じ船で多様なデザインを作成していたことが分かる。
笠原さんは、2002年に偶然、古美術店で昭和初期の客船の絵はがきを見つけ、色彩の美しさにひかれて収集を続けている。
魅力について「日本の船会社は当時、欧米と日本を結ぶ主要航路を外国の船会社と激しく競い合っていた。日本の文化や風景を紹介するだけでなく、海運国家としての威信と繁栄ぶりを海外に向けてアピールする格好の宣伝材料だったのだろう」と話す。
入場無料。問い合わせは、大さん橋総合案内(インフォメーション)電話045(211)2304。