◆先生のため 専門外に挑戦
横浜市立領家中学校(泉区)の囲碁部が、横浜港をテーマに取材執筆した新聞「一碁一会」が、海運や港をテーマとした新聞のコンクール「ジュニア・シッピング・ジャーナリスト賞」で2015年度の最優秀賞に輝いた。新聞作りが大好きな顧問の先生のために、部員4人が専門外の分野に挑戦し、最高のプレゼントを贈った。
執筆したのは、元部員で現在は高校1年の枝村一樹さん、國西裕雅さん、原剛史さん、刈田柊さん=いずれも(15)=の4人。
顧問の角田雄一教諭(46)は校内でも有名な新聞好き。毎年担当クラスや学年で新聞を制作し、数々のコンクールで入賞を果たしてきたが、昨年度は担任を持たず「新聞が作れない」と残念そうにしていたため、「先生のために新聞を作ろう」と中3だった昨年、囲碁部のメンバーでコンクールに挑戦した。
囲碁の大会を終えた昨年7月末に横浜港の見学会に参加。大黒ふ頭コンテナターミナルで日本の輸出入の現状を学んだり、遊覧船で横浜の名所を海から見学したりした。
編集長の枝村さんは、横浜港が日本の輸出入の中心港であることを知り、「市民としてうれしかった」。その気持ちを「横浜港で見た横浜の誇り」という見出しに込めた。
原さんは自他ともに認めるあがり症だが、見学会に同席していた現役の船長に急きょインタビューし、Q&A方式で記事をまとめた。「初対面の上に、日頃なじみのない職業の人に質問するのは難しかったが、いい経験になった」と振り返る。
高校受験の勉強の合間を縫ってパソコンで原稿を執筆、原稿や見出しの推敲(すいこう)や校正を重ねて10月に完成させ、同賞に応募。ことし1月には主催者の日本海事広報協会から上位7組に入ったとの報告が入り、「ここまで来たら一番上を目指そう」と高校入試が終わった2月からは上位7組が最優秀賞をかけて臨む発表審査会の練習に取り組み、見事最優秀の「国土交通大臣賞」に輝いた。
角田教諭にとっても新聞コンクールの最優秀賞は初めてで、授賞式では感激の涙を流したほど。「読む人が関心を抱く情報を集め、発信することの楽しさを知り、今後も新聞に興味を持ってくれれば」と期待を寄せていた。