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最後まで幸せ願い 認知症カップル結婚式

話題 | 神奈川新聞 | 2016年4月1日(金) 02:00

乾杯をしながら笑顔を見せる(左から)中村さん、佐川さん=グループホームみさき津久井
乾杯をしながら笑顔を見せる(左から)中村さん、佐川さん=グループホームみさき津久井

 認知症カップルの願いをかなえようと、相模原市緑区の高齢者グループホームで31日、手づくりの“結婚式”が行われた。2月に女性の末期がんが発覚し、以前から「式を挙げたい」と言っていた2人のために施設側が企画。「式の開催は、賛否両論あるだろうけれど、最後までその人らしく、幸せな思い出をつくってほしい」と温かく見守る。

 紅白幕で囲まれた「グループホームみさき津久井」。家族や入居者ら約50人に見守られて入場した黒のはかまを着た中村二郎さん(86)と、鮮やかなオレンジ色の着物姿の佐川マサエさん(78)は、見つめ合って満面に笑みを浮かべた。

 2人の認知症は中程度で、日常会話は普通にできるが、ついさっきの記憶がないなどの症状がある。

 出会ったのは、中村さんが入所してきた昨年夏。すぐに親しくなり、やがて2人の世界では「結婚している」「いつか式を挙げたい」と公言する関係になっていた。施設のスタッフは困惑し、2人をそれまでの同じ階から、それぞれ違う階の部屋に移動させようという話も持ち上がった。

 しかし、「お母さん」「お父さん」と呼び合い、いたわり合う2人を見るにつれ、スタッフが結婚式を発案。佐川さんの末期がんも発覚し「最後の思い出づくりに」と実現した。

 認知症のため、判断能力の問題や、ほかの入所者への影響など課題は多い。しかし、施設管理者の野田眞由美さん(29)は、「認知症では、脳は衰えてしまうけれど、心は生きたまま」と強調。「恋愛は、その人らしさの延長。認知症の恋愛をタブー視せず、人として尊重するきっかけになれば」と話す。

 結婚式の終盤。あいさつに立った“新郎新婦”は、「こんな式を挙げてくれるなんて夢にも思わなかった。うれしくて言葉が出ないです」と終始笑顔だった。

 
 

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