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「近迫」イノシシ対策(4)農地から見える課題

話題 | 神奈川新聞 | 2017年1月21日(土) 11:08

農家らを集めた講習会で「電気柵の外まで育つ野菜もイノシシのえさとなる」と指摘する井上さん(中央)=大磯町西小磯
農家らを集めた講習会で「電気柵の外まで育つ野菜もイノシシのえさとなる」と指摘する井上さん(中央)=大磯町西小磯

 畑に面したやぶ近くに進むと、イノシシが何度も往来した足跡が「獣道」となって現れた。今月6日、大磯町虫窪地区で電気柵を張ったモデル農地。鳥獣対策の専門家で町が講師として招いた井上雅央さん(67)が解説する。

 「やぶはあと2メートル刈り取って。ミカン園なら下草のスギナやタンポポの青草もえさになる。365日、園内に入れてはいけない」

 畑と電線のすき間を見破り、イノシシが園内に侵入したとみられ、甘夏が植わる畑は激しく荒らされていた。井上さんはその箇所を指摘し、自前の草刈り機でやぶを刈り取った。

 約3千平方メートルのミカン園を経営する二宮晃一さん(63)は電気柵に一定の効果を感じるが、繁忙期に電池交換ができず被害を受けたことを悔しがる。「維持管理を定期的にやらないといけないと痛感した」

 熊澤繁子さん(73)の畑では、電気柵近くにあるミカンの木を切断して見晴らしを良くし、近隣農家と連携して切れ目なく電線を張り巡らせた。井上さんは、イノシシとにらみ合いを続ける中で得られる副次的効果も強調した。「思い切って古い木を切って畑の規模を縮小することで、高齢化しても管理しやすい園になる。鳥獣害対策はそういうチャンスにもなる」

 鳥獣対策を講じて得られる「副産物」の代表格は、狩猟した野生の鳥獣を食材に用いるジビエ料理だ。松田町は昨年12月、捕獲したイノシシやシカを使った食肉利用の実現可能性について、調査を始めた。

 「採算性はあるか」「何頭くらい取れるのか」。安定供給には一定数の捕獲が必要とされ、血抜きなど迅速な処理を施す施設や仕組みも必要となる。数年前から食肉活用の検討を重ねてきた町は業者に調査を委託。イノシシとシカ2種の生息数と、昨年12月から今年2月末にかけての捕獲数を調べている。

 ただ、ここ数年の捕獲数は、イノシシは微増しているもののシカは減少傾向。増加しているイノシシも2013年度は6頭で、以降は毎年3頭ずつ増えている状況という。

 単独実施のハードルの高さを感じている町が選択肢の一つとしているのが、ジビエ連携だ。近隣の自治体も含む足柄上地域の捕獲状況も注視しており、「広域連携の可能性もゼロではない」(町観光経済課)。3月末にも一定の結論を出す見通しだ。

 有害鳥獣対策と野生獣肉による地域活性化の両立は可能なのか-。足元に迫るイノシシ。被害に苦慮する自治体の模索は続く。

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