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避難の母親支え続け 製作体験を通じ交流 都筑区のピースパール

話題 | 神奈川新聞 | 2016年3月13日(日) 14:56

東日本大震災の翌年から福島の女性支援プロジェクトを展開する「Peace Pearl」の代表、青木梓さん=横浜市都筑区
東日本大震災の翌年から福島の女性支援プロジェクトを展開する「Peace Pearl」の代表、青木梓さん=横浜市都筑区

 パールアクセサリーの製作・販売の収益で、困難に立ち向かう女性らを支援している企業「Peace Pearl(ピースパール)」(横浜市都筑区)が、東京電力福島第1原発事故を受け避難生活を続けている福島の母親たちを支えるプロジェクトを続けている。活動開始から4年近くたち、母親の中からは商品づくりの新たな担い手も現れた。「笑顔と元気、社会とつながる力を得られる場を提供したい」という同社の願いが、実りつつある。

 「ふくしまのお母さんへ笑顔を届けるプロジェクト」として無料のアクセサリー製作ワークショップを展開するのは、同社代表の青木梓さん(34)。パールアクセサリーの製作・販売の収益を活用し、横浜や三宅島で女性支援事業を手掛けてきた。

 福島ゆかりの母親向けにワークショップに取り組み始めたのは、震災復興支援を目的に起業して間もない2012年5月。自主避難者でつくる団体「福島避難母子の会in関東」と連携して都内で第1回を開催した。避難中の母親に交流の場や手作りの楽しさを提供しようと、初年は月1回ペースで開催した。

 「作りながらおしゃべりするのが楽しい」と好評で、13~15年は福島や京都にも活動を広げた。会場コーディネートや集客は、青木さんや参加した避難者らの人脈が頼り。「アクセサリーを媒体に女性が集まり、支援の輪が広がった」。青木さんはゆるやかなネットワークの広がりに手応えを感じている。

 プロジェクトの原資は、青木さんが手掛ける自社ブランド品製作・販売事業と一般向けワークショップの参加費だ。淡水パールを使ったネックレスやピアスなど、飽きの来ないデザインの商品は1点1500~5千円で販売。自社ネット通販やイベント出展、委託販売で得た収益の一部を女性支援活動に充てる。

 ワークショップの参加者で、震災後に福島県から横浜に移住した母親2人も昨年末から、Peace Pearlの商品製作に参加し始めた。幸福と福島を掛けたネーミングの「FUKU PEARL」シリーズの製作を主に手掛ける。完成した商品は、青木さんが相場より100円程度高く買い取る。「作業効率性の追求より、楽しく集まって何かを生み出す場の提供を優先したい」と青木さん。

 「母貝に育てられ女性らしさの象徴として捉えられてきたパールに、女性支援と幸せをつなぐ思いを託したい」と語る青木さん自身、プロジェクト開始後に一児の母となった。日々の育児でも、福島出身の母親たちに助けられているという。被災状況や立場の違いから、原発や避難生活に対する考え方に違いはあるが「子どもを健やかに伸び伸び育てたい気持ちは福島のお母さんも被災地外のお母さんも同じ。パールの魅力でお母さんたちをつなぎ、支えたい」

 同社は今月下旬にも、保養キャンプで県内を訪れる福島在住の母親対象にワークショップを開催するなど、新たな取り組みに着手する。さらに来年にかけて、横浜市内全域にワークショップや販売の場を展開。1万円前後の高価格帯商品も追加する。「息の長い事業に育てたい」と青木さんは語っている。商品は同社ホームページでも販売する。


福島の母親たちによるデザイン案が生かされたバッグチャーム(手前)
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