
6日に発生した台湾南部地震の被災者支援の輪が、秦野や伊勢原でも広がっている。「東日本大震災のときの支援への恩返し」と秦野市のラーメン店主が呼び掛けたところ、市内の10店が募金箱を設置。伊勢原市でも市役所が募金箱を設けたほか、戦時中に日本で戦闘機の製造などに携わった台湾出身の少年工と長年交流を続けてきた同市在住の女性も義援金を届ける。
◆店に募金箱、交流団体に持ち込みも
「一緒に募金活動をしませんか」。9日朝、秦野市菩提でラーメン店「味乃大久保」を営む小野瀬幸弘さん(44)がフェイスブックにそう書き込むと、友人を中心に8店が設置に賛同。ほかにも売り上げの一部を義援金に充てたいと書き込みが相次いだ。
親日的といわれる台湾からは、東日本大震災では200億円ともいわれる義援金が寄せられた。小野瀬さんは「震災で被災した親友が、国内外からの支援に大変ありがたがっていた。少しでも恩返ししたい」と今回の支援の動機を語る。募金は2月末に小野瀬さんがまとめ、日本赤十字社に寄付する。
こうした動きに伊勢原市石田の台湾料理店「九●※」店長の張溢芬さん(30)は「とてもうれしい。感謝している」と笑顔を見せる。張さんの弟は台南に住む大学院生で、地震当日は連絡が取れず心配した。結局旧正月で帰省した台北の実家で無事だったと分かり、ほっとしたという。
同市内には他にも、地震を伝える報道に気を揉む人がいた。佐野た香さん(88)は、戦時中に座間市にあった旧海軍の「高座海軍工廠(こうしょう)」の台湾少年工との交流団体「高座日台の会」の会長。自宅には今でも80代後半となった元少年工たちが台湾から訪ねてくる。
特に呼び掛けはしなかったが、地震後、佐野さんの自宅には会員が次々に訪れ、義援金を置いていったという。佐野さんはそれらを12日に台湾の“駐日大使館”に当たる「台北経済文化代表処」に届ける。「家族や家を失い、被災者は支援は必要でしょう。少しでも応援したい」と話していた。
※ ●は にんべんに分