他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 話題
  4. 出会いの大切さ伝え 市村さん、線路に託し急逝の漫画家

出会いの大切さ伝え 市村さん、線路に託し急逝の漫画家

話題 | 神奈川新聞 | 2016年1月16日(土) 14:44

遺作となった市村さんのイラストが並ぶ作品展=相模原市立桜台小学校
遺作となった市村さんのイラストが並ぶ作品展=相模原市立桜台小学校

 昨年10月下旬に急逝した漫画家・市村章さん=享年(81)=の作品展が、住んでいた相模原市南区にある市立桜台小学校内の桜台美術館で開かれている。「線路は続くよ どこまでも」と題し、汽車や車掌などの描き下ろしイラスト18枚が並ぶ。病床で描いた作品群には、「線路は人間関係と同じ。途中で電車から降りても、また乗れば人と人をつないでいく」という市村さんの思いが込められている。17日に一般公開される。

 市村さんは、経済誌「週刊東洋経済」で1984年から約25年にわたって政治風刺漫画を連載。地元でも約1200匹のこいのぼりが相模川上空を群泳する「泳げ鯉(こい)のぼり相模川」のポスターを長年手掛けるなど精力的に活動し、地域住民から親しまれてきた。

 作品展はもともと生前から企画され、市村さんは別のテーマで作品を描きためていたが、検査入院していた昨年10月中旬に急きょテーマ変更を依頼した。人間関係への思いを込めた線路というテーマに、同美術館担当の眞間秀子教諭は「今思えば亡くなるのが分かっていたのかもしれない」と振り返る。

 会場には、色とりどりの列車や、線路を背景に敬礼をする鉄道員など、多種多様な作品が並ぶ。自身の誕生日である「517」(5月17日)を車体に小さく刻むなど、ユーモアも隠されている。

 急逝で作品数が限られてしまったため、同校の児童が描いた乗り物や線路の絵も展示。10年前、子どもが美術に親しむ場として、空き教室を利用した同美術館開設に尽力し、その後も運営に携わった市村さんと児童とのコラボ展となった。

 準備途中に市村さんが亡くなり、一時は作品展の中止も考えたという眞間教諭だが、「命がけで描いた魂がこもっている。市村さんの遺志を大切にしたい」と開催を決めた。「美術を通した地域の交流の場を途絶えさせてはいけない」と考えている。

 一般公開は、午前10時から午後4時半まで。入場無料。問い合わせは、同校電話042(742)3674。


市村章さん
市村章さん
 
 

展覧会に関するその他のニュース

話題に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング