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東京五輪後も視野に 横須賀市
どうなる誘致合戦 ナショナルトレセン拡充施設

話題 | 神奈川新聞 | 2016年1月5日(火) 10:40

誘致候補地を視察する遠藤五輪相(中央)。行政、議会のトップのみならず、地元選出の国会議員らも迎えた=昨年12月16日、誘致候補地のワイハート地区
誘致候補地を視察する遠藤五輪相(中央)。行政、議会のトップのみならず、地元選出の国会議員らも迎えた=昨年12月16日、誘致候補地のワイハート地区

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて横須賀市などが取り組む「ナショナルトレーニングセンター」(NTC、東京都北区)拡充施設の誘致活動に、タイムリミットが迫っている。開幕を4年半後に控え、国が新たなプロジェクトに着手するかは不透明な情勢だ。誘致関係者からは「五輪前の完成にはこだわらない」と軌道修正する発言も出始めた。

 「大臣からゴーサインが出れば、すぐに工事に取りかかれます」

 はやる気持ちは、黒岩祐治知事の口説き文句にも表れた。昨年12月16日、候補地のワイハート地区(同市衣笠町など)を初視察した遠藤利明五輪相に同行。地元選出の国会議員、県議らも駆け付け、吉田雄人市長がアクセスや環境面などの利点を説いた。

 だが、遠藤五輪相は「屋外施設の必要性は十分感じている」としながら、迷走した新国立競技場の整備などを引き合いに、「財源の問題を考えなければいけない。現段階でいつ造るかまでには至っていない」と、最後まで慎重な姿勢を崩さなかった。

 横須賀誘致委員会(竹内英明会長)の計画では、民有地である同地区のうち約34ヘクタールに、既存のNTCにはない自転車や馬術、球技などの屋外競技の専用施設を整備してもらう。海上系競技の練習拠点には北下浦海岸を想定。静岡県御殿場市や宮崎県などと水面下で、誘致レースを繰り広げる。

 一方、スポーツ関連で過去最多の324億円に上る2016年度政府予算案の中には、横須賀などが望む方向性は反映されていない。設計から工事完了までは3年程度必要とされる。仮に今から取り組んでも、20年7月開幕の五輪本番に向けた強化にはつながりにくいとの見方が強い。

 「現実問題として(五輪前に)こだわりすぎて勇み足になるより、実現に向けて着実に要望活動を行う方が有効」。吉田市長は4日の年頭会見で、五輪後も視野に入れた誘致に注力し続ける意向を示した。「僕らは夢を持っている。五輪に間に合わなくても、引き続きこのエネルギーを持ち続けたい」(竹内会長)との声が出てきている。

 現時点で決して実現性が高いとはいえない誘致に突き進むのは、「横須賀再生の最後のビッグチャンス」(関係者)ととらえるからだ。一流のプレーに市民が触れられる利点に加え、地元企業に公共事業の受注が増え、来場者の増加も地域活性化につなげられるとの思惑がある。

 文部科学省の有識者会議では現在、屋外・水上系競技施設の整備の必要性などの審議が続いている。年度内の取りまとめを目指す報告書の内容は誘致構想にも影響するとみられ、誘致委も注視している。

 
 

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