「ミソガール」として国内外にみその魅力を発信する、横浜市神奈川区の藤本智子さん(30)。昨年はイタリア・ミラノで開催した国際博覧会に参加し、自給率向上の取り組みでも表彰された。今年も「神奈川をはじめ、地域に根差したみその素晴らしさを伝えていきたい」と奔走する。
昨年5月と10月にミラノ万博に出展。みそ汁を振る舞うと、「ヴォーノ(おいしい)!」と声が上がり、健康志向のイタリア人から質問が相次いだ。みその可能性を再確認したという。
東京農業大学醸造科学科などで聴講生として学ぶ傍ら、昨年12月からは専門学校で留学生を対象に講師役を務める。日本での滞在期間が長くなる留学生たちにとって、「故郷の食べ物とはまた違う、“第二のお母さんの味”になれば」と話す。
「みそは魔法の調味料」と考えている。かつてアパレル関係の仕事に就いていたが、不規則な生活が続いた20代前半に、外出も難しいほど肌荒れになった。食事や生活習慣を見直す中で、出会ったのがみそ。みそ汁を毎日飲むようになると体調も改善し、「幅広く伝えたい」と考えるようになった。
ミニスカ風の羽織に帯を前で結び、ブーツ姿で同世代の仲間30人とともに「ミソガール」として全国行脚する。2014年4月からは月1回、みそにまつわる情報を集めた「ジャパン味噌(みそ)プレス」も発行している。
2年前には戦国時代の保存食を参考に、だしと具材を混ぜて直径3センチの団子にした「みそまる」を考案。レシピ本も2冊、発行した。「みそは何にでも合う。家庭ごとのみそ汁があるように、レシピ本を参考に一人一人のオリジナルのみそまるを追求してほしい」と話す。
昨年11月には国産の消費拡大に貢献した取り組みを表彰する「フード・アクション・ニッポン・アワード」でグランプリを受賞。これまでの普及活動に加え、地元のみそと食材を使った「ご当地みそまる」が評価された。
「取材やイベントで全国各地のみそメーカーなどを訪れるたびに、作り手の情熱に感動させられる」。みそは代々受け継がれた味があり、品質と製法にも携わる人たちのこだわりがある。その感動を一人でも多くの人と共有しようとしている。
「今年は神奈川県産のみそを使ったみそまるを作りたい」と抱負を語る藤本さん。「みそは人々を笑顔にする。ファンを一人でも多く増やせれば」。また忙しい一年になりそうだ。
問い合わせは、ジャパン味噌プレスを発行するトランタンネットワーク新聞社電話045(444)4030。