
「今年サル(去る)? 安心してください。ちゃんといますよ」-。小田原城址公園内(小田原市城内)で飼育され、引き取り手がない状態が10年間にわたって続いているサルたちは、今年も観光客らに愛くるしい姿を見せる一年となりそうだ。
サルのおりがあるのは、同公園に動物園があった時代からの名残だ。現在は7~30歳ぐらいのニホンザル9頭が飼育され、小田原城を訪れる観光客や遊びに来た親子連れなどを和ませている。
獣舎の老朽化に加え、「国指定史跡にふさわしくない」といった指摘もあり、市は2005年度から動物園の本格的な撤去に着手。動物の多くは全国の動物園や公園に引き取られた。しかし、サルだけは「縄張り意識が強く、移転先のサルたちとけんかしてしまう」(市観光課)といった理由から引き取り手が見つかっていない。
現在も日本動物園水族館協会を通じて移転先を探しているが、同課は「現実にはかなり厳しい。市民からも愛されており、最後まで見届ける気持ちで飼育している」と話している。
今年は申(さる)年。耐震改修工事のため4月末まで休館中の天守閣に代わる観光の目玉として、“活躍”が期待される。