
鎌倉市の由比ガ浜海水浴場が、安全、美観、環境保全などの基準をクリアしたビーチやマリーナに与えられる国際認証「ブルーフラッグ」の取得を目指している。アジア初の認証に向け市と海の家事業者が協力して準備を進めており、早ければ来年4月にも取得できる見込み。2020年東京五輪を見据え、環境面に優れた安全なビーチをアピールし、地域のブランド力アップを狙う。
ブルーフラッグは、国際的な環境NGO「FEE」(Foundation for Environmental Education)が実施する認証制度。利用者への環境教育や水質基準、ごみ箱・トイレの設置、バリアフリー化などの基準をクリアすることで認証が与えられ、証明となるブルーフラッグをビーチに掲げることができる。
認証後は定期的な水質測定や教育活動、安全面の報告などが義務付けられ、高い格式と誘客効果が期待できる。世界50カ国・地域、4千カ所が認証を受けているが、日本を含むアジア地域では例がないという。
ブルーフラッグの勉強会などを行っていたNPO法人「湘南ビジョン研究所」(藤沢市)が関係者に呼び掛け、今年2月ごろに海の家事業者でつくる由比ガ浜茶亭組合などと話し合いを開始。「持続可能な海水浴場を目指せる取り組み」と、市も協力を快諾した。
組合は水質調査など認証取得に向けた費用を負担、市は書類作成などを担い10月末に申請した。11月上旬にはFEEのソフィー・バシェ・グラナドス事務局長が市役所で松尾崇市長に面会し、海水浴場を視察した。
来年3月までに国内審査と国際審査が行われ、早ければ4月に取得できる予定。同法人は「市民の環境意識が高い鎌倉で受け入れられやすいツール。五輪に向けて湘南のブランド価値を高め、国際的にも注目を集めるきっかけにしたい」、同組合の増田元秀さんは「ここ数年、治安の悪化や風紀の乱れが問題となった。利用者のマナーやモラルの向上につなげたい」と、期待を寄せている。
◆ブルーフラッグ 国際的な環境NGO「FEE」が実施するビーチやマリーナを対象とした環境認証制度。▽環境教育と情報▽水質▽環境マネジメント▽安全とサービス-の33項目の基準を設け、持続可能なビーチ・マリーナを目指す。1985年にフランスで生まれ、現在50カ国、約4千カ所が認証を受けている。