横須賀市鴨居の県立観音崎公園にパークセンター(公園管理事務所)が完成した。旧日本陸軍が1898(明治31)年、観音崎砲台の火薬庫として整備した建物をリニューアルした。外壁のモルタルをはがし、建設当時のれんがの外観を復元した。2016年1月4日にオープンする。
木骨れんが造の平屋で、床面積は188平方メートル。木の骨組みで壁をれんが積みにしており、世界遺産の富岡製糸場(群馬県富岡市)と同じ構造だ。外壁と基礎部分に計約11万1千個のれんがが使用されている。
市内の郷土史家・山本詔一さん(66)によると、建物は日本初の近代砲台が整備された観音崎の付随施設で、一時期れんがの外壁に白いモルタルが塗られていた。「戦時中、れんがの赤色が目立つためモルタルを塗ったのではないか。敗戦後はしばらく放置されていた。昔の姿を残す貴重な歴史的建造物となった」と話す。
建物は観音崎青少年の村の集会室として11年3月まで利用された。14年11月から15年12月までのリニューアル工事でれんがの壁を復元し耐震補強をした。費用は計約1億5千万円。
総面積約70・4ヘクタールの観音崎公園を管理する同センターには多目的ホールが備えられた。公園の自然や歴史のパネル展、イベントに使用される予定。問い合わせは、同センター電話046(843)8316。