
2020年の東京五輪・パラリンピックを目指すアスリート2人が横須賀市内の企業で働くことが決まった。日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援制度「アスナビ」を活用した市内初のケースで、ともに正社員として採用。今後は会社のサポートを受けて競技に集中する。2人は1日に市役所で会見し、横須賀から世界に挑む意気込みを語った。
射撃でパラリンピック出場を狙う森脇敏夫さん(47)=横浜商工高(現横浜創学館高)出身=は、同日付で不動産会社「ウスイホーム」(横須賀市久里浜)に入社。左腕まひのハンディに負けない精神力と、システムエンジニアとしての実績が評価された。
国内合宿や海外遠征を会社から特別休暇として認めてもらい、費用の半額補助も受ける。「練習場(くりはま花の国の射撃場)の近くで業務に取り組めるなど、競技に集中できる環境を提供してもらい、感謝している」と喜びを語った。
セーリングで五輪代表入りを目指す山辺美希さん(21)=関東学院大4年=は、プロパンガス販売「サガミ」(同市衣笠町)に来年4月の入社が内定。広報担当として週3日、午前中のみの勤務となる見通しだ。
練習拠点の材木座海岸(鎌倉市)で引き続きトレーニングに打ち込める環境が整い、「来年度も競技を続けられることへの喜びと感謝の気持ちでいっぱい。誰からも愛されるアスリートを目指したい」と笑顔で話した。
2人は8月下旬に横須賀商工会議所で開かれた「アスナビ」の説明会に出席。地元企業の採用担当者らに競技への思いなどをアピールし、内定にこぎ着けた。JOCによると、この制度を利用して就職先が決まった全国のアスリートは、1日現在で91人(64社)。
■「市長部局に移管を」 スポーツ課議論白熱市議会
教育委員会内にあるスポーツ課を、市長部局に移管すべき-。開会中の横須賀市議会定例会で、組織改編の議論が熱を帯びている。政府は10月にスポーツ庁を発足させ、県も2016年度からスポーツ局を新設する方針。吉田雄人市長はこうした動向を踏まえ、「来年度に市教委と調整し、しかるべき結論を出さなければいけない」と述べた。
加藤真道氏(市政同友会)は一般質問で「いまのスポーツは学校保健体育にとどまらず、各都市が地域や経済の活性化を重要視している」などと指摘。20年の東京五輪に向けた同市のナショナルトレーニングセンター誘致事業などを市長部局が担う例を挙げ、効率のよい組織づくりを提案した。
これに対し、青木克明教育長は「授業や部活動の補助で社会体育関係者の協力を受け、いい環境が保たれている」と答弁。現行体制のメリットを生かす意味でも、当面は市教委にとどめるべきだとの見解を示した。
2人の質疑応答を見守る形となった吉田市長は、「市長部局が担うスポーツ事業が多いと気付かされた。移管へどんな課題があるのか、関連団体の意見を聞いてみたい」と関心を示しつつ、議論を締めた。