
私立学校の助成拡充を訴える「私学のつどい」が23日、横浜市神奈川区の県社会福祉会館で開かれた。戦後70年の節目に合わせ、「戦争体験を語り継ぐ若葉の会」の片岡正会長(88)=同市旭区=が横浜大空襲の体験談を講演。「敗戦」が「終戦」にすり替えられ、戦争責任の所在が曖昧にされてきた歴史を批判し、会場の中高生らに「日本だけでなく、世界の平和のために何ができるかを考えて」と呼び掛けた。
教員や中高生、保護者らでつくる実行委員会などが主催し、約120人が参加した。
片岡会長は17歳の時、横浜・みなとみらい21(MM21)地区の造船所で機械工として就業中、空襲に遭った。造船所は被害を免れたが、横浜の街は焼け野原に。自宅に戻ったが、家族の安否は不明だった。ぼうぜんとしていたところ、防火水槽の中、生暖かくなった水の中を懸命に泳ぐ金魚を見つけ、「自分もぼんやりとしていられない」と奮起し、家族と無事に再会できたという。
敗戦を伝える玉音放送を聞き、「戦死した方には申し訳ないが、苦しみから抜けられると思った」と片岡会長。戦後、引っ越し先でも飼育した金魚が産卵し、「だんだん大きくなるのがわが家の楽しみだった。力を与えてくれたのが金魚だった」と振り返った。
「戦後70年、日本は平和だったが、世界中で戦争が絶えない。平和は空気のようなもので、戦争になったときに初めて大切さが分かる」と指摘。「視野を広くして、日本だけでなく世界の平和に貢献するためにどうすればよいか考えてほしい」と訴えた。
つどいでは、県内の私立学校が直面する学費負担の公私間格差や地域間格差などを報告。学費の心配なく安心して通学できるよう「本当の意味で平和といえる社会を実現していく」などとアピールした。